ブラッドリー・ビール

サンズはデュラントに続きビールを放出、チーム再建へ

ブラッドリー・ビールはサンズとの契約バイアウトに合意し、ウェイバー期間が終わるとクリッパーズに加入する見込みだ。『ESPN』によれば、ビールのエージェントは数週間前の時点でサンズとの合意を取り付け、レイカーズ、ウォリアーズ、バックス、ティンバーウルブズなどと交渉し、クリッパーズとの2年契約をまとめたという。

2023年の夏にサンズはビールを獲得したが、デビン・ブッカーとケビン・デュラントとの『ビッグ3』はオフェンス偏重かつケガが多く、周囲に良い人材を集めることもできなかった。2023-24シーズンはプレーオフのファーストラウンドでウルブズにスウィープ負け、昨シーズンはプレーイン・トーナメント進出さえ逃す失意の結果に終わった

一昨シーズンは53試合出場で18.2得点と5.0アシスト、昨シーズンは53試合に出場して17.0得点、3.7アシストとそれなりのスタッツは残したが、ケガでコンスタントにプレーできないことで連携を構築できず、オフェンスで試合を決めるほどの重要な仕事はできない一方でディフェンスに難があった。昨シーズン途中にジミー・バトラー獲得のチャンスが浮上した際、トレード拒否条項を持つビールが了承しなかったために移籍は成立せず。彼自身は真摯にバスケに向き合っていたが、サンズの失敗の象徴となっていた

2年1億1000万ドル(約170億円)が残っていた両者の契約のうち、ビールが1390万ドル(約21億円)を放棄し、残りの年俸をサンズは5年間に分割して支払う。ビールはクリッパーズと2年1100万ドル(約17億円)の契約を結ぶ見込みで、サンズで放棄した金額は取り戻せないが、2年目はプレーヤーオプションとなっており、この1年で活躍して再評価を勝ち取れば、フリーエージェントとなる来年夏の新契約で取り戻せる計算となる。

昨シーズンはNBA30チームで最も高額の年俸を支払いながらプレーオフ進出を逃す状況で、再構築は避けられない。サンズのブライアン・グレゴリー新GMは、今年5月の就任からデュラントの放出に続きビールの契約バイアウトという『戦略的撤退』を進めてきた。デュラントとビールの放出でセカンドエプロンを超過していた年俸総額を大幅に削減したことで、ラグジュアリータックスを回避。編成上の制約を解き、今後は28歳のブッカーが全盛期にあるうちに再び優勝争いを演じるべく、チームを再建することになる

サンズでは様々なことが上手くいかなかったが、年俸が大幅に下がった今、ビールはクリッパーズにとって期待の新戦力となる。メインハンドラーかつ得点源を務めるのはジェームズ・ハーデンで、サンズのようにビールがプレーメークを求められることはない。ディフェンスとリバウンドでもイビチャ・ズバッツとブルック・ロペス、ジョン・コリンズと強力なフロントコートを擁し、相手のエースにはカワイ・レナードが付く。

ビールはいまだケガの連鎖から抜け出せてはいないが、プレッシャーが『年俸相応』に落ち着く中で優勝を目指して戦うことができる。今回の契約バイアウトとクリッパーズへの加入は、ビールにとってキャリア再建のための重要なきっかけとなるはずだ。