背番号は7を選択「ティム・ダンカンの3分の1でも」

セルティックスはドリュー・ホリデークリスタプス・ポルジンギスを放出して年俸削減に成功し、控えセンターのルーク・コーネットを残留させるつもりだった。2022年に2年450万ドル(約6億8000万円)、昨年に1年280万ドル(約4億2000万円)と格安の契約を受け入れてきた彼に、それなりの昇給を提示するつもりだったが、スパーズが4年4070万ドル(約61億円)を提示したとなれば、撤退するしかなかった。

キャリア初期をジャーニーマンとして過ごしたコーネットは、ここ数年でセルティックスに欠かせない控えセンターに成長した。誰もが3ポイントシュートの習得に必死になるNBAで、彼は逆に3ポイントシュートを封印して、愚直にリムへと走り、フィールドゴール成功率は優勝した一昨シーズンが70.0%、昨シーズンが66.8%とチャンスを高確率で決める選手となった。

堅実な守備とリバウンドも含め、目立たなくてもチームの勝利に貢献できるビッグマンとして評価を高めたコーネットは、30歳にして初めて大きな契約を手にしてスパーズに加入した。スパーズはビクター・ウェンバニャマ、ステフォン・キャッスルと2年連続のルーキー・オブ・ザ・イヤーを擁し、今年のドラフトでも1巡目2位で有望株のディラン・ハーパーを指名。かつての黄金期を再建すべく若い選手とともにチームは成長を続けているが、ここでビッグネームを獲得するタイプのチームではない。

ウェンバニャマは「1人の選手のためにチームを壊すことはない。チームバランスを犠牲にせずにチームを築いていくのが上手いんだ」と、スパーズの方向性に信頼を寄せる。

そのスパーズが目を付けた補強がコーネットだった。「僕は誰とでも良い連携を取れる」と彼は言う。「セルティックスではポルジンギスやアル・ホーフォードと一緒にプレーして多くを学んだ。守備でも攻撃でも、誰かと組んでプレーするのが好きなんだ。ガードにとってはピック&ロールの良きパートナーになれる。ヴィクターとプレーできるのも楽しみだ。2人のリムプロテクトは間違いなく強力だし、彼がベンチにいる間にリムを守ることもできる」

「全員で協力しながら課題を解決していきたい」

「今回は若いチームでプレーする。僕にとっては新しい経験だけど、何かを教えるのではなく、全員で協力しながら課題を解決していきたいと思っている。僕にはプレーオフを戦い、優勝した経験がある。それを生かしてチームがどう機能し、どれだけの成熟度が必要で、強みと弱みをどのように認識するかの理解を進める助けになりたい。新しいチームメートとともに成長の機会を得て、スパーズが最高のチームへと成長するのが楽しみだ」

新しい背番号は7。一度も着けたことのない7番を選んだ理由を「ティム・ダンカンが選手として成し遂げたことの3分の1で良いから、スパーズに来た以上は彼のようになりたいと願っているからだ」と説明する。

「僕はもっと責任のある機会を求めていた。スパーズの一員となり、コート上で自分が何を提供してチームの勝利に貢献できるかを考えると興奮するよ。セルティックスを含めて、これまで僕に与えられた機会すべてに感謝しているけど、僕はここスパーズに導かれたように感じている」

ウェンバニャマは先日、右肩の深部静脈血栓症から回復し、医療スタッフから正式にバスケをプレーする許可が出た。「この問題は克服できた。ようやくバスケを再開できることにホッとしている」とウェンバニャマはコメントしている。左手小指の手術をしたディアロン・フォックスも、新シーズンを万全の状態で迎えられる。スパーズの成長は一歩ずつ着実に、それでも力強く前進し続けている。