残り2年1億1000万ドルの契約を解除すべく交渉中
現地7月6日、ケビン・デュラントをサンズからロケッツに送るトレードが正式に発表された。NBAファイナルの『GAME7』が始まろうというタイミングでリークされたこの移籍は、フリーエージェントのモラトリアム期間の終了を待つ必要があり、その間にデュラントを中心とする7チームを巻き込む大型トレードとなった。
サンズはこのトレードでジェイレン・グリーンとディロン・ブルックス、今年のNBAドラフト10位指名権(カマン・マラワチを指名)など多くの対価を得た。フロントはそれに続くアクションとして、ブラッドリー・ビールと契約バイアウトについて協議していると『Arizona Republic』が報じている。
ビールはウィザーズ時代に5年2億5000万ドル(約380億円)の契約を結んでおり、プレーヤーオプションとなっている最終年を含めて2年1億1000万ドル(約170億円)が残っている。
2023年夏にサンズ移籍が決まって以来、ビールは『まずまず』のプレーを見せている。2年目の昨シーズンは53試合に出場して17.0得点、3.7アシスト、3ポイントシュート成功率38.6%を記録した。ベンチ起用も受け入れ、チームの勝利のためにハードワークする姿勢を見せているのだが、周囲の評価は厳しい。
その高額年俸は、彼を生え抜きのエースとして評価していたウィザーズだから提示できたもの。サンズのファンは生え抜きのエースであるデビン・ブッカーより高い年俸をもらいながら『まずまず』の働きしかできないビールに不満を溜め込んでいた。
サンズとしては、残り1億1000万ドルの契約を9000万ドル程度の支払いで破棄できれば、その9000万ドルは5年分割にしてサラリーキャップに計上できる。これはデイミアン・リラードに対してバックスが使った方法で、今後5年間に渡ってサラリーキャップが圧迫されるが、1年あたりのサラリーは削減でき、サンズの場合は現状のセカンドエプロン超過を解消でき、支払うはずだったラグジュアリータックスを大幅に削減できる。
ビールにとっても、バイアウト合意で収入の一部を失うことになるが、どれだけハードワークしても「高額年俸に見合った働きではない」という評価から解放される方がメリットが大きい。ロールプレーヤーとして割り切れば、ビールは今も優秀なプレーヤーであり、バスケに取り組む姿勢やリーダーシップも多くのチームに重宝されるはずだ。
選手寿命が長くなった今のNBAで、32歳はまだまだ働ける年齢だ。若い頃のような身体能力を前面に押し出すプレーはできなくなっても、それとは異なる様々な形でチームに貢献できる。このバイアウトはビールのキャリアを再浮上させる転機となるかもしれない。