タイリース・ハリバートン

「挑戦しなかったらずっと後悔すると思った」

ペイサーズの完勝に終わったNBAファイナル第6戦、タイリース・ハリバートンは素晴らしい働きを見せた。32分出場、14得点5アシスト2スティールというスタッツはそれほど目立たなくても、チームを引っ張り、ゲインブリッジ・フィールドハウスを盛り上げた彼の功績は大きい。

ティップオフ前の選手紹介で、ハリバートンが紹介されたのは一番最後だった。チームメートが順に名前を呼ばれてコートに出ていく間、ベンチに座る彼は右足のふくらはぎをケアしており、どれだけのプレーができるか定かではなかった。

ハリバートンは試合後の記者会見でこう語る。「どんな形であれ、自分らしくプレーして試合に良い影響を与えたかった。僕はケガを抱えているけど、ダメだった場合に君たちはケガなんか気にせずに評価するよね? だから僕もケガは気にせずプレーしようとした」

開始早々にフリースローで初得点こそ記録したものの、プルアップジャンパー、フローター、ドライブからのレイアップ、3ポイントシュートとフィールドゴールは4本連続で決まらなかった。その間、チームは2-10と低調なスタートを切るも、開始7分半には21-17と逆転して持ち直した。そしてハリバートンは最初のフィールドゴールとなる3ポイントシュートを決めると、総立ちとなったインディアナのファンの歓声と拍手の下を、悠々とベンチへ引き上げた。

第2クォーター途中に彼がコートに戻って来た時、チームは31-32と再びビハインドを背負っていたが、今度はハリバートンとバックコートコンビを組むTJ・マッコネルが素晴らしいプレーを見せる。そのマッコネルからのアシストでハリバートンが3ポイントシュートを決めると、再びスタンディングオベーションが沸き起こった。

ふくらはぎの様子を確かめながらのプレーだからか、ハリバートンは約2分のプレーでベンチに戻ったが、その間にペイサーズは10-1のランで2桁のリードを築き、そのリードを最後まで保つことになる。

「チームに迷惑をかけていたら下げてほしいと伝えた」

「ただ仲間たちと一緒に戦いたかった。それだけなんだ」とハリバートンは話す。「今シーズンは特別な年で、チームとして特別な絆がある。『一緒に戦いたい』と思える連中なんだ。挑戦しなかったらずっと後悔すると思った。コーチには『十分なプレーができず、チームに迷惑をかけていたら下げてほしい』と話した。プレーしたいのはもちろんだけど、一番は勝つことだから、コーチにはそう正直に伝えたんだ」

第2クォーターを36-17と圧倒した後、後半開始からの5分間を無得点で切り抜けて30点近いリードを築いた時点で、ペイサーズの勝利は確実なものとなった。ハリバートンは第3クォーターの半ばにベンチに下がり、その後は出場しなかった。

ふくらはぎの問題は解消したわけではない。敵地に舞台を移しての『GAME7』に向け、そのティップオフまでに自分の身体と向き合う戦いがまた始まる。

「最高に興奮するよ、バスケを好きな者の一人として『GAME7』に以上のものはない。しかもNBAファイナルの『GAME7』だよ。一生をかけて夢見てきたものだ。これまでのことは関係ない。今日起きたことも関係ない。すべては『GAME7』に懸かっている。だから全員が身体のケアに勤しみ、映像を分析して、最善の準備を整えなきゃいけない」

「結果がどうなるかは分からない。でも、僕たちはここに来るために必死で練習してきた。自分たちが積み重ねてきた努力を信じているよ」