若さが裏目に出たロケッツを圧倒、103-89で勝利
他のどんな試合よりも緊張が張り詰めるプレーオフの『GAME7』で、ウォリアーズが実力をそのまま発揮した一方で、ロケッツはこれまでのシーズンで積み重ねてきたものをほぼ何も出せなかった。一般的に『GAME7』はホームが圧倒的に有利と言われるが、経験の差はそれ以上で、103-89というスコア以上の差がある結末となった。
前半にウォリアーズ優位の展開を作ったのはバディ・ヒールドで、7本中6本の3ポイントシュート成功を含む22得点をマーク。一方でロケッツはアルペラン・シェングンとジェイレン・グリーンの若き両エースが揃って攻め気を見せられない。この間にロケッツの攻守を支えたのはアメン・トンプソンで、『本職』のディフェンスでのハードワークだけでなくオフェンスでも思い切り良く攻め、前半の12得点に続いて第3クォーターにも10得点と、ロースコアの展開で貴重なシュートを決め続けた。
しかし、トンプソンがいくらハッスルしても他が付いてこない。一人で引っ張るには限界があり、第3クォーターをフル出場し、第4クォーターになっても交代しなかった彼はふくらはぎを攣ってベンチに下がることに。ステフィン・カリーは22得点、ジミー・バトラーは20得点と2人ともこの日は控え目な活躍に留まったが、試合の要所ではきっちりと実力を発揮し、ロケッツに付け入る隙を与えなかった。
ヒールドは大事な『GAME7』で33得点のパフォーマンスを見せた。彼はNBAキャリア9年目だが、セブンティシクサーズでの昨シーズンが初めてのプレーオフで、この時はニックス相手にファーストラウンドで敗退している。32歳で迎えた2度目にして、彼はようやくプレーオフ最初のシリーズ突破を果たした。
ヒールド「ようやく突破口を開くことができたよ」
「僕にとっては初めての経験だから、とにかく集中して、この瞬間を楽しもうと思った。緊張したけど、こういう時こそ自分らしくいることが大事だ。ロッカールームのみんなは経験豊富だから普通にしているように見えたけど、普通じゃないよね。とにかく今日の試合は楽しかった」とヒールドは言う。
「やっぱり『GAME7』は特別だし、経験してみたいと言うよね。でも、実際に『GAME7』に準備をしてプレーするのは本当に大変だ。周囲のみんなのサポートに感謝している。そしてもちろん、ジミーやステフ、ドレイモンドにも。『GAME7』を何度も経験している彼らが導いてくれたおかげだ」
ヒールドがシックスマンから先発に役割を変えて活躍できている要因は、気まぐれなシューターだった時代からステップアップし、ディフェンスでも穴にならず、ウォリアーズの高度なチームバスケを遂行できるようになったからだ。それでもこの試合では、ヒールドは持ち前の得点力を存分に発揮した。シリーズを通して苦戦したロケッツのゾーンディフェンスを打開したのは彼の3ポイントシュートだ。
「ようやく突破口を開くことができたよ。ゾーンディフェンスを3ポイントシュートで破り、相手にゾーンを止めさせることができた」とヒールドはうれしそうに笑う。
ドレイモンド・グリーンは「今日は会場入りした時点でバディが自信満々で、歩く姿から違って見えたよ。絶対にやってくれると思っていた」と語り、バトラーは「今日はバディ、バディ、バディだ。大金を払う価値があるよ」と笑った。
ただし、ウォリアーズは一息つく暇もなくヒューストンからミネソタに直行しなければならない。カンファレンスセミファイナルの相手はティンバーウルブズ。4勝1敗でレイカーズを破ったウルブズが休養十分なのに対し、ウォリアーズは『GAME7』を戦っただけでなくプレーインの1試合もこなしている。ベテランが多いだけに、過密日程の中でどれだけコンディションを整えられるかが非常に重要となる。