文=丸山素行 写真=Getty Images

ロンドン五輪でアルゼンチンを4強に導いた指揮官

13日、日本バスケットボール協会が会見を開き、男子日本代表チームの新ヘッドコーチにアルゼンチン人のフリオ・ラマスが就任することを発表した。

ラマスはブエノスアイレス出身の52歳。アルゼンチン代表のヘッドコーチを長く務め、2012年のロンドンオリンピックでは4位の成績を残している。

アルゼンチンリーグでは優勝4回、最優秀コーチ賞を1991年から2011年までの間に7回受賞している。スパーズでプレーするマヌ・ジノビリに代表される『アルゼンチン黄金世代』を率いた経歴の持ち主でもある。

6月に開催される東アジア選手権から、2020年の東京オリンピックに向けた一連の戦いがスタートする。東アジア選手権までは現在、暫定的な指揮官であるルカ・パヴィチェヴィッチがチームを率いるが、その後はラマスが東京オリンピックを見据えてAKATSUKI FIVEの指揮を執る。

今回の監督人事を主導したのは技術委員会の委員長を務める東野智弥。自らが「アルゼンチン3大巨匠のうちの一人」と表現するラマスを選んだ理由を、東野は次のように語っている。

「アルゼンチンは体格的条件に日本とさほど違いがありません。その点、体格的に劣るチームが世界で戦うための術を熟知しており、その手腕を発揮していただくことで、男子日本代表チームも飛躍的な成長を遂げるものと信じています」

「またNBAで活躍したジノビリ選手ら、個性的なタレントに対してもチームを組織として機能させることもできます。国際的な人脈もあり、それらの点でも彼の果たす役割、あるいは彼の存在そのものが、日本にとって大きな財産となるはずです」

「日本のバスケットボールにはまだまだ向上の余地がある」

現在、ラマスはサン・ロレンソのヘッドコーチとしてアルゼンチンリーグを戦っており、着任はリーグ終了後の6月以降となる。今日の会見にも出席しなかったが、ビデオメッセージで次のように抱負を述べている。

「日本のバスケットボールにはまだまだ向上の余地があり、私はしっかりと組織だったプログラムの下で進めていきたいと考えています。日本にはエネルギーに溢れ、助け合い、集団的に成長し、チームの一員としてプレーできる若い有望な選手たちがいます」

「今回、オファーを受諾したのは、私の前に提案されたプロジェクトに大きな関心を抱いたからです。なぜなら、そのプロジェクトが魅力的なプロフェッショナルとしての挑戦であるからです。また、日本のような高いプロ基準の中で業務を遂行することは、私がプロとして成長できる機会であるとも感じています」

ようやく決まった代表ヘッドコーチに、東野技術委員長は興奮を隠せない様子。「日本代表チームの成長、世界的な活躍は、日本バスケットボール界の未来にとって不可欠な要素です。我々は彼を迎え、輝かしい未来に向けて第一歩を踏み出すことができました。技術委員会としても彼をバックアップし、二人三脚で必ずやワールドカップ出場、そして東京オリンピック出場を勝ち取りたいと考えています」