ステフォン・キャッスル

オールスター本戦へ「準備をしておいたほうがいいよ」

サンフランシスコで行われるNBAオールスターの主役はステフィン・カリーだが、少なくともオールスター・ウィークエンドの初日は『違うステフ』、ステフォン・キャッスルがスポットライトを集めた。現地2月14日に行われた1年目と2年目の若手選抜で争われる『ライジングスターズ』で、キャッスルを擁するチームCがチームTとGリーグ選抜を破って優勝を決めた。

昨年のNBAドラフト1巡目4位指名を受けてスパーズに加わったキャッスルは、ここまで51試合に出場し、そのうち29試合に先発出場。12.9得点、2.8リバウンド、3.5アシストを記録している。それでもシーズン序盤の不安定さは次第に消え、攻守に安定したプレーを身に着けつつある。

特に直近の10試合では20得点超えを5試合で記録しての平均18.3得点、4.3リバウンド、フィールドゴール成功率52.6%、3ポイントシュート成功率40.0%と絶好調。スパーズでのこの好調をライジングスターズにも持ち込み、アグレッシブにプレーして初戦では6得点4リバウンド4アシスト、決勝では12得点3リバウンド2アシストを記録している。

「自分の持つ能力すべてを最大限に発揮しようとした。ウチのチームは全員がその思いでプレーしていたと思う」とキャッスルは言う。「すべては日曜にプレーするためだ。みんな勝利を望んでいた」

ライジングスターズを制したチームCは、日曜のNBAオールスター本戦に出場する。セミファイナルで対戦する『チーム・シャック』には、レブロン・ジェームズにステフィン・カリー、ケビン・デュラントといった豪華な顔触れが揃う。

NBAオールスターはかつての伝統を失い、存在意義が揺らいでいる。昨年大会ではMVPがデイミアン・リラードに決まった瞬間、スタンドから盛大なブーイングが沸き上がった。地元ペイサーズのタイリース・ハリバートンに活躍の機会がなかったことがその主な要因だが、真剣勝負の気配を全く出さないオールスターゲームに観客が不満をぶつけるのは当然だった。

レブロンは「一番の収穫はケガ人が出なかったこと」と言い、アンソニー・エドワーズは「誰もここで本気でプレーしようとは思わない」と言った。今回、ライジングスターズの優勝チームがオールスター本戦に出場するルールを、ケビン・デュラントは露骨に嫌がった。だが、そんなオールスターに価値はない。現地2月16日のオールスター本戦で、キャッスルを擁する若きチームが、つまらないオールスターに刺激を与えてくれることを願いたい。

そんな期待を知ってか知らずか、キャッスルは「僕らと対戦する準備をしておいたほうがいいよ」と語り、ダンクコンテストに向けても「ライジングスターズのMVPだけが持ち帰りたいトロフィーってわけじゃないんだ」と意欲を見せた。