ユスフ・ヌルキッチやドマンタス・サボニスの苦戦
昨シーズンのサンズにおいてユスフ・ヌルキッチは非常に重要な戦力でした。ポイントガード不在のチームでインサイドの中継役としてパスを供給し、ピック&ロールで崩せなくても次の展開へと持ち込むこともでき、シューティング能力の高いエースたちと相性の良いセンターでした。
しかし、ヘッドコーチが交代してポイントガードが増えた今シーズンはインサイドでのプレーメークが必要とされず、シンプルにゴール下のフィニッシュ力が高いセンターが求められるようになりました。加えてヌルキッチがハイポストにポジションを取ると、ドライブアタックのスペースを消してしまうことにも繋がりました。こうして今シーズンは出番を失ってしまい、ゴール下に強いニック・リチャーズとのトレードが発生しました。
ハンドラーが変われば、ビッグに求められる役割も変わるのは自然な流れ。同じことはディアロン・フォックスからザック・ラビーンに変わったキングスにも起きています。スピードを生かした突破からのフィニッシュとキックアウトを繰り出すフォックスと、3ポイントシュートを得意とするトレイ・ライルズの組み合わせは大いに機能していましたが、シューティングを武器とするラビーンにはゴール下に強いビッグマンが求められ、ライルズは苦戦しています。
ラビーンはポイントセンターであるドマンタス・サボニスと相性が良いと思われたのですが、ラビーンがオンボールでのプレーを好み、オフボールでフリーになる動きに乏しいため、このホットラインが機能していません。シーズン途中の加入で連係構築が難しい面はあるにせよ、キングスにおいてサボニスの重要性が落ちています。
ルディ・ゴベアとジュリアス・ランドルが離脱したティンバーウルブズでは、ドラフト27位のルーキー、テレンス・シャノンJr.が台頭してきました。ツインタワーの戦術ではパスとシュートで崩すガードが必要とされていたため、ドライブから得点を奪うタイプのシャノンJr.には出番がありませんでしたが、ストレッチビッグのナズ・リードとは相性が良く、ウルブズの新たな武器になっています。
ビッグマンの交代で戦い方を変化させるグリズリーズ
ビッグマンの違いを最も上手く使っているのはグリズリーズです。ゴール下に強いザック・イディーやショートレンジの上手いブランドン・クラークを使う形もあれば、3ポイントシュートの上手いサンティ・アルダマとジェイ・ハフを起用してジャ・モラントのドライブアタックを使いやすい形もあります。頻繁な選手交代で戦い方を柔軟に変化させることで、リーグ屈指のオフェンス力を構築しています。
他にもジミー・バトラーの加入でストレッチビッグの必要性が高まり、活躍の場を増やしたクインテン・ポスト、そのバトラーがいなくなったことでバム・アデバヨとツインタワーを形成するようになったケレル・ウェアなど、中心選手が変われば必要とされるビッグマンのタイプも変わってきます。
3ポイントシュートの得意なストレッチタイプ、アシストのできるポイントセンター、スモールサイズでも運動量とスピードで翻弄するハードワーカーなど、ビッグマンと言ってもプレースタイルは様々です。同じタイプのビッグマンを複数人揃えるチームもあれば、異なるタイプを使い分けるチームもあり、その戦略も様々です。いかにして相性の良い選手を揃えるかが、チーム構築のキーになっています。