「チームメートが僕を鼓舞してくれたおかげだ」
長いシーズンには好不調の波があるもので、ニックスは今がコンディション的に苦しい時期。オールスターブレイク明けでも、現地2月20日のブルズ戦はジョシュ・ハートとOG・アヌノビーを欠き、今シーズンいまだ出場のないミッチェル・ロビンソンはほぼ回復しているそうだが、この日の復帰は見送られた。
ブルズもパトリック・ウィリアムズとジェイレン・スミスを欠いて万全ではなかったが、若い選手たちは休養十分で闘志を前面に押し出し、それに引っ張られるようにニコラ・ブーチェビッチも力強いプレーでインサイドを支配。前半はブーチェビッチが14得点を挙げた一方でカール・アンソニー・タウンズはフィールドゴール15本中成功わずか2本の6得点と不発で、ニックスがリードしながら突き放せず、ブルズが着実に追い上げる試合展開はセンターの差が影響している印象だった。
「前半のシュートは考えられる限り最悪だった。それでも自信を持ち続け、集中を切らさずにプレーできたのはチームメートが僕を鼓舞してくれたおかげだ」とタウンズは言う。「前半があれだけダメでも、後半もみんな僕にチャンスを作ってくれた。その信頼を感じたからこそ後半は決めることができたんだと思う」
後半のタウンズはフィールドゴール11本中9本成功で20得点を挙げる大活躍。逆にブーチェビッチを7得点と抑え込み、今度はタウンズがチームを引っ張った。
ザック・ラビーン放出後、ブルズは自分たちのスタイルを模索しているが、この試合ではジョシュ・ギディーとロンゾ・ボールの作り出すハイテンポなオフェンスから、3ポイントシュートを39.6%の高確率で決め、ニックスに食らいついた。
それでも延長で強みを発揮したのはニックスだった。第4クォーター残り2秒、決めればゲームウィナーのブーチェビッチのシュートをミケル・ブリッジズがブロックショットで叩き落す。ニックスはベテランが多く、主力にプレータイムが偏っているものの、限界を試されるような試合展開に慣れている。延長でブルズのスピードが落ちた一方で、ニックスのプレー強度は高いまま。この頃には完全に勢いに乗っていたタウンズが、スピンムーブからのフェイダウェイジャンパーを決めるなど6得点を重ね、ニックスが113-111で競り勝った。
「厳しい試合を泥臭く戦って勝つのは良いね」
43分の出場で32得点18リバウンドと、前半の低調な出来が嘘のようなスタッツを残したタウンズは「厳しい試合を泥臭く戦って勝つのは良いね。オールスターブレイク明けの試合で、一発でリズムを取り戻せたよ」と語る。
ブランソンは22得点12アシストを記録。彼もまた「スロースタートで厳しい試合になったけど、そこから自分たちで打開策を見つけて勝利に持っていけたのは大きい」と、苦戦しながらも精神的な強さを示して勝てたことを誇る。
ニックスの選手たちは、シーズン再開の試合に勝っても『臨戦態勢』のままだった。それには理由がある。すぐさま移動して翌日に敵地でキャバリアーズと対戦し、それが終われば中1日を置いて敵地でのセルティックス戦を迎える。東カンファレンス3位のニックスにとっては、自分たちより上位の2チーム相手の『力試し』となる。
セルティックスとは2.5ゲーム、キャブズとは8ゲームと大きな差があり、ここで勝ったところで順位が入れ替わるわけではないが、プレーオフを見据えて自信を高めるとともに、相手に苦手意識を植え付けたい。ニックスにとってはレギュラーシーズンで最も重要な時期となる。