トム・ホーバス

痛かった吉井の離脱「影響が雪だるま式に広がっていきました」

220日、男子日本代表は『FIBAアジアカップ2025予選Window3』でアウェーに乗り込んで中国と対戦したが、58-100と大敗を喫した。

日本代表は序盤から中国に主導権を握られ、第2クォーター序盤で14-30と苦境に陥る。司令塔の佐々木隆成(三遠ネオフェニックス)とテーブス海(アルバルク東京)を同時起用するツーガードが機能し、残り4分半には6点差にまで詰め寄ったが、タイムアウトを取った中国に流れを切られて失点を重ね、17点ビハインドまで突き放されてハーフタイムを迎える。

後半、なんとか盛り返したい日本代表だったが、複数のベテラン不在である今回のウィンドウにおいて一番の経験を誇る吉井裕鷹(三遠)が、コンディション不良で後半から欠場。大黒柱不在の中国アウェーで劣勢を巻き返すのは厳しく、後半もプレー強度、遂行力で中国に差を見せつけられて完敗した。

試合後の記者会見、指揮官のトム・ホーバスは202111月末に行われた『FIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア地区予選』で、中国に63-7973-106と連敗を喫したことを引き合いに出して試合を総括した。

「とてもタフな敗戦でした。3年半前、男子代表のヘッドコーチになって初めての試合で大敗したことを思い出させるものでした。中国のプレッシャーディフェンスで、私たちのオフェンスのリズムが崩れました。彼らはとてもフィジカルで素晴らしい仕事を遂行しました」

吉井の離脱については「怪我をしました。彼は具合が悪い感じだったので試合から外しました」と理由を明かし、彼がいなくなったことのダメージを『Snowball Effect』と表した。「経験豊富な選手を欠いた影響が雪だるま式に広がっていきました。その結果、練習でやってきたプレーが効果的にできなくなりました」

今回の中国は、225日のWindow1で日本に敗れた雪辱を果たそうと、国内リーグのベストメンバーによる必勝体制で臨んだ。熱狂的な応援が加わった会場は日本にとっては過酷で、国際大会での経験が少ない選手たちは文字通りアウェーの洗礼を受けた。

ホーバスは、「もう一度、言いますが中国は良いチームです。リーチが長くフィジカルで、アタックがうまくできなかったです」と相手への敬意を強調する。一方で、「海、佐々木、アレックス(カーク、琉球ゴールデンキングス)と良い仕事をしてくました。このレベルで戦った経験がある選手はとても堅実な仕事をしてくれました。若手も素晴らしい選手ですが、今回は厳しい試合となりました」と、チーム全体での国際経験不足が出てしまったと続ける。

アレックス・カーク

モンゴル戦はトライアウトを強調した選手起用も一考

日本代表の次戦は223日、アウェーでのモンゴル戦だ。すでに本大会出場を決めているため、吉井はこのまま欠場することが予想され、インサイドの要としてカークによりいっそうの期待がかかる。とは言え、カークはBリーグレギュラーシーズン再開後の3月早々に東アジアスーパーリーグのファイナル4という大舞台が控えている。同じくファイナル4に出場する中村拓人(広島ドラゴンフライズ)と共に、引き続きアウェーへの過酷な移動に帯同させて良いものか。

もちろん代表活動は重要だが、同じように日本のチームが国際大会で優勝することも日本バスケットボール界にとって大切だ。消化試合かつ、中国戦のように『アウェーでアジア屈指のバスケ大国から歴史的勝利を狙う』という目標もない中、カークや中村を帯同させる必要性はどこまであるのか。

モンゴル戦は、渡邉怜音(福岡大学附属大濠高)を筆頭に若手に多くの経験を積ませる、トライアウトをより強調した選手起用に舵を切るのも選択肢の一つだ。