『スタッツに残らない仕事』を上回るプレーに期待

『FIBA アジアカップ 2025 予選 Window3』に挑むバスケットボール男子日本代表チームは、2月20日に中国代表、23日にモンゴル代表と対戦する。フレッシュなメンバーが集められた今ウィンドウでの活躍が期待される選手たちの、これまでの経歴やプレースタイルを紹介する。

■吉井裕鷹(よしい・ひろたか/三遠ネオフェニックス所属/SF/196cm94kg)

大阪府出身、現在26歳の吉井は、大阪エヴェッサとアルバルク東京で特別指定選手としてプレーし、2021年にA東京でプロキャリアをスタートさせた。2023-24シーズンは平均プレータイムが10.5分と出場機会に恵まれなかったが、三遠ネオフェニックスに移籍した今シーズン、ここまで33試合中に31試合で先発出場し平均26.23分のプレータイムを得て、11.8得点、3.7リバウンドを記録している。

恵まれた身体能力に加えて、バスケIQがあることでそのポテンシャルを安定して発揮できるのが吉井の強み。三遠に来て今のBリーグで猛威を振るう外国籍のフォワードを1対1で守り切り、攻めに転じれば周囲と息を合わせつつ果敢にリムにアタックする躍動感溢れるプレーを見せ、盤石の強さを見せて首位を独走する三遠に不可欠な存在となった。

今回の日本代表は、すでにアジアカップ本戦出場を決めているため実績ある選手の多くに休養を与えたが、吉井は引き続き招集され、キャプテンも任された。この点でも指揮官トム・ホーバスがいかに吉井を高く評価しているかが分かる。中堅から若手が揃うチームをプレーで引っ張るのが彼の役割となるが、気負うことなく「いつも通りのプレーをしっかりと遂行し続ける」つもりだ。

日本代表では、相手の流れを断ち切るディフェンスやチームに流れを引き寄せるハッスルがA東京よりも評価されてきたと言っていい。それでも日本代表では他の選手の引き立て役に回り、スタッツに残らない泥臭いプレーに徹してきた。

それは良い意味で『吉井らしさ』ではあるが、今回の代表のメンバー構成を見る限り、吉井にはスタッツに残る活躍も期待したくなる。フレッシュな顔ぶれとなったWindow3において、吉井はあらゆる面で今まで以上のパフォーマンスを求められる。ホーバスも、吉井にそれができると判断したからこその招集し、キャプテンに任命したのだろう。

吉井は今回の中国戦とモンゴル戦で、チームを鼓舞し、牽引するプレーをいつも通り続けるだろうが、ここで『主役』のパフォーマンスまでこなすことができれば、プレーヤーとして一つ大きなステップアップとなるはずだ。