「僕がピストンズに行くことがないとは言い切れない」

NBAにおいてスター選手の絡むトレードが起きる場合、選手からの要求をチームが仕方なく受け入れることで成立することが多い。実績あるスター選手はチームよりも大きな力を持つ傾向にあり、その意味では先日に成立したルカ・ドンチッチとアンソニー・デイビスのトレードは、選手側の意向とは全く関係のないところで成立したことが大きなサプライズとなった。

この『世紀のトレード』を機に、チーム側が主導権を握るトレードが増えていく可能性もある。しかし、今回の出来事はドンチッチのようなリーグのトッププレーヤーであっても自分の希望とは関係のないところで交渉が進み、トレードが成立することを示した。

そんなNBAで、いまや希少な存在となった生え抜きのスーパースターの一人、バックスのヤニス・アデトクンボは、母国ギリシャのテレビ局の取材で、トレードに対する自分の立場を表明した。

「少なくともルカがマーベリックスからレイカーズに移籍したのだから、僕がピストンズに行くことがないとは言い切れないよね。NBAはビジネスだと理解しなければいけない。もしトレードを通達されたら、それを家族に知らせ、自分の仕事をするだけだ」

それと同時に、彼自身はバックスと相思相愛にあると続けた。「これまでトレードを求めるメッセージを送ったことはない。それに僕は、バックスが追い出したいと思う選手ではないと思うよ」

今シーズンのアデトクンボは41試合出場で平均31.8得点、12.2リバウンド、5.9アシストといつも通りのハイパフォーマンスを継続している。シーズン序盤は出遅れていたバックスだが、29勝24敗と持ち直して後半を迎える。功労者のクリス・ミドルトンを放出してまで、ウィザーズから即戦力のカイル・クーズマを獲得しており、この意欲的なトレードはクラブ側もアデトクンボの勝利を求める姿勢を共有していることを示す。

もっとも、NBAは『一寸先は闇』である。今の相思相愛が今後も続くかどうかは、今シーズン後半戦とプレーオフの結果次第だ。