一番成長できる道を模索しBリーグへ
1月27日、福井ブローウィンズがアメリカ・IMGアカデミー出身の内藤英真との特別指定選手契約を発表した。西福岡中3年時に全中ベスト8という結果を残し、中学卒業後から4年半にわたってアメリカで腕を磨いた20歳のポイントガードに、アメリカで得た経験や今後の目標について聞いた。
──福井との契約が決まった率直な感想を教えてください。
とりあえず嬉しいです。B2の舞台でどこまでやれるのか、今までアメリカでやってきたことがどこまで活かせるか、ワクワクしています。
──西福岡中時代、アジア太平洋代表チームの一員として「Jr.NBA世界選手権」に参加されました。海外にチャレンジしたいという気持ちはこのとき生まれたのですか?
Jr.NBAも1つのきっかけではありましたが、小学6年生の時にIMGアカデミーのキャンプに参加した時から「アメリカでバスケをしたいな」と思っていました。その時は全然下手だったので現実的ではなかったですが、中学2年から試合に出させてもらえようになって、アンダー14や15の日本代表に選ばれて、Jr.NBAも選ばれて。段階を踏んで、改めてアメリカのトップのバスケを見た時に「ここでやってみたいな」と思ったという感じです。
──IMGアカデミーではどのような生活を送っていましたか?
1年目は年齢の問題もあって、その年代の1番上のチームにとりあえず入ったという感じでしたが、英語がわからず、ポイントガードとしてはだいぶ苦労しました。プレータイムもなかったですし、試合に出るために英語を頑張るシーズンでした。2年目からはセカンドチームでしたが、こちらもかなりレベルが高かったです。チームメートのうち4人がディビジョン1の大学に行きましたし、身長236cmのオリバー・リウも一緒にプレーしていました。試合をする相手のレベルも高かったので、ここで経験を積めたのはけっこう大きかったですね。
──自身のキャリアについてはどのような展望を描いていましたか?
やっぱり「アメリカに行ったからにはD1の大学でプレーしたい」という気持ちが大きかったですが、高校からそのままD1に行くのは難しいと判断したので、DMEアカデミーでプレップイヤー(高校卒業後の1年間を競技と学業に専念して大学進学の準備をするプログラム)を取って頑張りました。ただ、それでも自分が行きたいチームからのオファーは来なかったので、ジュニアカレッジ経由でD1を目指す方向に切り替えました。
──なかなか思うようにはいかなかったのですね。
ジュニアカレッジに入ってからは「カテゴリーにこだわらず、とにかく一番上のレベルでやりたい」という思いでプレーしていましたが、半年ほど経ってから「どこに行けばバスケット選手として一番成長できるのか」とよくよく考えるようになり、日本に帰るのも1つの手なのかなと思うようになりました。日本でも上を目指すことはできると思って、方向転換することにしました。
追いかけるのは「誰か」でなく思い描く「自分」
──「一番上のレベル」はどこを指すものですか? 日本代表なのか、NBAなのか。
やっぱりNBAです。ただ、そこにたどり着くためにはやっぱり段階を踏む必要があるので。河村勇輝選手がBリーグからNBAに行ったことで、そういう道もあるんだなとわかったのは大きいです。日本代表やBプレミアで活躍して、トップのレベルに行けたらいいなという感じです。
──小川麻斗選手や中田嵩基選手といった西福岡中の先輩、中学時代にライバルだった轟琉維選手など、近しい存在が多くBリーグで活躍しています。尊敬している選手、背中を追いかけたい選手はいますか?
特にいません。「自分がやりたい」「バスケで生きていく」と決めているからこそ、なんて言うんすかね…「誰か」というより「自分」がやらないことには始まらないと思っています。ここから先は本当に結果がものを言う世界。これで結果が出なかったら自分の努力が足りないだけ。なので、誰かの背中を追いかけるのではなく、自分が思うような自分になりたいです。
──プロキャリアが決まる今、どんなことを想像し、ワクワクしていますか?
まずは特別指定という立場でも試合にからめるように頑張る。そこからですかね。試合に出ないと始まらないので。
──アメリカで過ごした4年間では、楽しいこともつらいことも含め、たくさんの経験をされたと思います。どのように生かしていきたいですか?
試合に出られない時期も経験したので、出られないときに自分がどうすればいいかはわかっているつもりです。特に今は「特別指定」という1番下っ端の立場なので、試合に出れなくても自分がやるべきことをやって、チャンスが回ってきた時にそこをつかめるよう頑張ります。あとは、アメリカですごいレベルのフィジカルやスピード、身体能力の中でやってきた自負があるので、そこは全然ビビっていません。
──福井の環境はいかがですか?
アメリカで最後にいた学校がすごく寒いところにあったので、寒さや雪は大丈夫だと思います。福井は海鮮がおいしいって聞いたので、これから食べるのが楽しみです。
──練習に参加してみての印象を聞かせてください。
日本のバスケは中学までしか知らないのでなんとも言えないんですけど、質が高いなって感じました。チーム練習は2時間ぐらいでコンパクトなのでそこまできつくはないんですけど、強度と質の高さには結構ビビりましたね。あとは雰囲気もめちゃくちゃ良いです。みんなが声を出して盛り上げるし、誰かが倒れたら助けに行くし、英語を喋れる人もいっぱいいるし。なんか日本にいる感じがしないというか、アメリカにいた時とあんまり変わらない感じで楽しいですね。
──チームにどのような影響を及ぼしたいですか?
自分はポイントガードで、バスケットの軸はやっぱりポイントガードだと思っています。試合に絡んで、チームにインパクトを与えられるように頑張りたいですね。練習でちゃんと自分ができるところを見せて、まずは試合に絡むとこから。まずはそこからです。