コール・アンソニー

不振を払拭する大活躍「僕はみんなに支えられている」

マジックはケガ人続出の状況にある。パオロ・バンケロに続いてフランツ・バグナーも戦線離脱となり、得点トップの2人を失った直近の4試合は1勝3敗と失速していた。現地12月21日のヒート戦ではジェイレン・サッグスとギャリー・ハリスをケガで欠き、さらに第1クォーターにモリッツ・バグナーが膝を痛めて退き、第2クォーターにはウェンデル・カーターJr.が退場となった。

ヒートはジミー・バトラーを欠いても好調で、前半だけで今シーズン最多の76得点を挙げて20点のリードを築いていた。第3クォーター終了時点で84-106。1クォーターで20点差はほぼセーフティリードだ。

だが、ここからマジックは試合をひっくり返す。残り3分を切ったところで逆転すると、一気に突き放した。第4クォーターのスコアは37-8。指揮官ジャマール・モズリーは「これをどう説明すべきか分からない」と語った。「ウチの選手たちは集中して根性を見せた。それぐらいしか言葉が出てこないよ」

大逆転劇の主役を演じたのはコール・アンソニーとゴガ・ビタゼだ。アンソニーはベンチから出てオフェンスを引っ張り35得点、ビタゼはバグナーとカーターJr.が不在となったインサイドを支えて18得点13リバウンドの活躍を見せた。

キャリア5年目のコール・アンソニーは今シーズンずっと不調だった。ここまで2桁得点は4回のみと持ち味の爆発力を発揮できず、ローテーション外に置かれることもあった。だが、この試合では良いプレーをするたびに自分で自分を乗せていき、最後は手の付けられない勢いで大暴れ。これまでの鬱憤を振り払うようなパフォーマンスの後、コートインタビューでは「やっとチームに貢献できてうれしかった」と涙を流した。

会見でのアンソニーは落ち着きを取り戻し、チームの結束力を強調した。「トリスタン(ダ・シルバ)とジャレンがベンチから飛び出して抱き着いてきた。2人に限らず、このチームにはバスケを抜きにしても最高のヤツらが集まっている。そんな連中と毎日働けるのは幸せだ。僕はみんなに支えられている。僕も絶対そうするから見ていてほしいけど、今度誰かが活躍する時は僕がベンチでそれを盛り上げ、そいつのためにハイタッチするよ」

魔法のような逆転勝利ではあったが、マジックにはまた新たな悲劇が起きた。モリッツ・バグナーは接触のないところで膝を痛めて倒れており、大きなケガが予想される。指揮官モズリーは「明日の検査までは何も分からないから、今はその話題はやめてくれ」とだけコメントした。そしてビタゼは「モー(モリッツ)のために祈っている」と語った。

「僕は今日、モーのためにプレーした。この勝利は彼のものだ。僕は彼を尊敬している。プレータイムも役割も定まらないのに、それがチームに必要ならばと全力を尽くす男だ。今日もミーティングが終わったと思ったらコートで汗だくになっていた。それが結果に繋がると信じて努力を惜しまない男なんだ」

アンソニーも自分の言葉を添えた。「彼ほどバスケを愛し、バスケに打ち込む男は見たことがない。彼のために祈りたいし、何があろうと応援している」