プレーオフ展望vol.1ウォリアーズvsクリッパーズ 究極の『質と量』、激突の行方は?

2019/04/13
NBA&海外
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ウォリアーズ

文=神高尚 写真=Getty Images

王者の急所、インサイドを突きたいクリッパーズ

西カンファレンス1位と8位の対戦カードですが、ウォリアーズが57勝でクリッパーズが48勝と、その差はわずかに9勝のみ。ウォリアーズ圧勝のイメージはあっても、そう簡単なシリーズではありません。豪華メンバーを揃えるウォリアーズですが、平均8得点以上の選手は4人のみ。対するクリッパーズにはオールスター選手はいないものの平均8得点以上は7人と、選手の顔ぶれを見れば究極の『質vs量』の戦いになりそうです。

ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ケビン・デュラントの高いシュート力を武器にしたウォリアーズのオフェンスは、3ポイントシュートによって広くスペーシングし、パッシングオフェンスでインサイドでのイージーシュートを生み出すのが特徴です。その3ポイントシュートの効率は変わらずデマーカス・カズンズを加えたのが今のチームですが、ペイント内得点は28位と苦労しています。

一方のクリッパーズはリーグ7位のペイント内得点に加えて、フリースローの本数はリーグ1位とインサイドで強みを発揮しています。カズンズの存在は脅威ではありますが、ファウルの多さも特徴であり、またキャリアを通してプレーオフに出場した経験がないことから、クリッパーズがカズンズを狙い撃ちして攻め立てるのは有効な作戦でしょう。ウォリアーズはアンドリュー・ボーガットの補強などビッグマンを増やしましたが、不安があるからこそ補強する必要があったので、強気に攻め立てて行きたいところです。

クリッパーズは、シャイ・ギルゲウス・アレクサンダーとランディ・シャメットという2人のルーキーがスターターに名を連ねます。チームを再建しながら勝利を重ねたことは高く評価できますが、ここはプレーオフを戦う上の不安要素です。

動き回るカリーやトンプソンについていくのは簡単ではなく、ウォリアーズに大きなアドバンテージがあるマッチアップですが、ルーキーでは苦しいと判断したらベンチからベテランディフェンダーのギャレット・テンプルが登場しそうです。パトリック・ベバリーのへばりつくディフェンスには誰もが手を焼くもので、個々の対決では勝てなくても選手層でカバーすることを狙ってくるでしょう。

『質』の高さに押し切られず、混戦に持ち込めるか

クリッパーズの得点源は先発のダニーロ・ガリナリ、そしてベンチから登場するルー・ウィリアムズとモンテロズ・ハレルのコンビプレー。しかし、ガリナリはドレイモンド・グリーンとデュラントのディフェンスに大いに苦しみ、直接対決では平均得点を6点近く落としています。ビッグマン相手にはアウトサイドで、小さい相手とはインサイドで勝負するのがガリナリの得意技ですが、オールラウンドに守れる2人に対しては有利に立てるポイントを見つけられていません。

そのためクリッパーズはオフェンスでもベンチメンバーの大活躍に期待せざるを得ません。平均20点を超えるルー・ウィリアムズとフィールドゴール成功率60%を超えるハレルは厄介なコンビです。ベンチメンバー同士のマッチアップでは止めるのが難しく、ローテーションを変更してでも対策を取っていく必要があります。

ただ、これらの層の厚さを活用したクリッパーズの戦い方は、長いシーズンでは有効でも、プレーオフではメリットが小さくなります。短期決戦でスターターが長くプレーし、ベンチメンバーの出場時間が短くなるからです。『質vs量』の戦いで質の高いメンバーが長くプレーするとなれば、前者が圧倒的に有利になります。

昨シーズンのプレーオフでロケッツと接戦を繰り広げる中で、ウォリアーズは主力メンバーをほとんど休ませずにプレーさせました。それはシーズンでの勝率に固執せず、ファイナルに向けてコンディションを整えてきた王者の余裕が生み出したプレーオフならではの戦い方でした。

クリッパーズの特長はタフな戦いが長引いてこそ生きてくるため、ウォリアーズのスタミナを削るような戦い方が求められます。『量』で勝負するためにはシリーズの試合数も増やしたいところ。逆にいえばウォリアーズは4連勝で一気に勝負を決めたいでしょう。

対極的な戦い方をしているだけに、ウォリアーズを倒す可能性をも秘めているのがクリッパーズですが、それでもやはり王者がファーストラウンドで姿を消すことを想像するのは難しく、接戦に持ち込んでも最後は『質』の高さで押し切ってしまうのではないでしょうか。