中山拓哉

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

アルバルク東京に善戦するも、後半に失速

3月30日、秋田ノーザンハピネッツは敵地に乗り込み、アルバルク東京との第1戦に臨んだ。持ち前の激しい守備でロースコアゲームに持ち込み、前半を3点リードで折り返すも、終盤になるにつれインテンシティが下がって踏ん張ることができず、69-84の逆転負けを喫した。

10得点4リバウンド5アシスト6スティールと攻守に奮闘した中山拓哉は「前半は良いディフェンスができていたんですけど、後半にイージーなゴール下の得点が多くて、向こうのフィールドゴールパーセントが高くなってしまった。そこを抑えないと勝てないゲームだった」と、試合を振り返った。

秋田を指揮するジョゼップ・クラロスは「後半20分のディフェンスが崩れてしまった」とディフェンスを敗因に挙げた。「アグレッシブには行っていたんですけど、オフェンスリバウンドを取られたのもありますし、合わせからダンクも何本もされました」と中山が言うように、A東京の連動したオフェンスが秋田ディフェンスを上回った。

オフェンスでは、「向こうが良いディナイをして、(パスを)受けたいタイミングで受けれなかったです。時間だけが過ぎて、結局ごちゃごちゃしたオフェンスになってしまって、そこはやられました」と、平均70失点を切る堅守のA東京に屈したことを認めた。

そして、中山は「僕たちは『バッドショット』を打たされて、向こうは『グッドショット』が多かったイメージです」と、試合を総括した。

中山拓哉

強度を保ち続ける難しさ「死にそうになります(笑)」

秋田の目指す激しいディフェンスを40分間続けるには、精神的にも肉体的にもタフさが求められる。その強度を保つには、それ相応のベンチの層が必要なのだが、秋田は中山を筆頭に4人の選手が30分以上プレーするなど、タイムシェアができなかった。後半に失速した原因はまさにそこにある。中山も「僕たちが後半疲れてる時にどんどんフレッシュな選手が入ってくることで、向こうに勢いを持っていかれました」と話す。

A東京の強烈なプレッシャーに耐え切れず、ガード陣がボールを失う場面が連続したこともあり、中山は両チーム最長となる約37分間出場せざるを得ない状況となった。そのため、最終クォーターのオフィシャルタイムアウトを迎える前段階で、肩で息をするほど疲弊していた。

「死にそうになります(笑)」と、中山は苦笑いを浮かべる。それでも、ヘッドコーチからの「頑張れ、やり続けろ」との言葉に奮起し、「みんなの代表として試合に出させてもらっているので、自分がやらなきゃいけない」と、責任感を背負って最後までファイトし続けた。

中山拓哉

残留プレーオフ回避に必要な『ジャイアントキリング』

現在リーグ14位の秋田は、このまま行けば残留プレーオフを回避できる位置にいる。だが、滋賀レイクスターズと横浜ビー・コルセアーズにゲーム差1で追われており、予断を許さない状況が続いている。また、横浜との戦績は1勝1敗だが、得失点差では下回るため、勝率で並んだ場合は横浜の下になる。さらに、激戦区の東地区に所属する厳しさもある。だからこそ、中山は『ジャイアントキリング』の必要性を訴える。

「並ばれたらアウトですし、東地区は強いです。それでもチャンスはあると思うので、東の3強には絶対に勝ちたい。他のチームが負けるのを祈るんじゃなく、僕たちが勝てば関係ないので、勝つことだけを考えたい」

この先、リーグ首位の千葉ジェッツ、2位の栃木ブレックスとの戦いが待ち受けるなど、秋田が残留プレーオフを回避するためには、トップ3の牙城を崩す必要がある。チーム最長となる、平均30分を超えるプレータイムの中山に、これ以上のハードワークを求めるのは気が引ける。だが中山は、「ブースターさんは精一杯やってくれているので、僕たちが応えなきゃいけない」と、クレイジーピンクの思いを一心に背負い、まずはA東京超えを狙う。