文・写真=泉誠一

交流戦で20連勝と白星を荒稼ぎし、B2トップを走る島根

B2の交流戦が終了した。東地区と中地区から白星を荒稼ぎした島根スサノオマジックは目下20連勝中。38勝6敗はB2全クラブの中でNo.1の勝率を挙げ、混戦となる西地区の首位をキープしている。

だが、交流戦が始まる前の島根は2位だった。西地区同士の対戦における1位は熊本ヴォルターズであり、3位の広島ドラゴンフライズと2位島根の勝率は同じ。指揮官の勝久マイケルは、「ライバルたちは負けないだろうという気持ちで、1試合1試合危機感を持って戦っているだけ」と話しており、交流戦で勝利を積み上げたことで立場をひっくり返し、追われる立場となって西地区同士の対戦が再開される。

西地区の順位は、1位の島根を3ゲーム差で追いかける広島が2位につけている。3位となった熊本にしても、島根までのゲーム差はたった4であり、混戦状態は変わらない。B1昇格へ向けたプレーオフに進出できるのは各地区1位のクラブと、ワイルドカードとして2位の中から一番勝率の高いクラブを含めた4つのみ。

熊本は34勝10敗。東地区と中地区の首位より勝率が上でも3位ではプレーオフには進めない。今週末、5位の香川ファイブアローズと対戦する島根を除き、各地区それぞれプレーオフを争う上位クラブ同士の熱き戦いが待っている。

今週末、東地区と中地区では『首位決戦』が行われる

首位の島根に追いつくためにも、両クラブとも負けられない広島vs熊本の一戦。ホームゲーム開催となる広島は『最大の挑戦』と掲げ、臨戦態勢で熊本を迎える。この2クラブによる直接対決は第29節(4月29日/30日)にも控えており、プレーオフ進出を占う大事な試合となる。

西地区以外はいきなり首位決戦が待っている。東地区は1位の群馬クレインサンダーズと2位の福島ファイヤーボンズ、中地区は1位のFイーグルス名古屋と2位の西宮ストークスがそれぞれ対戦。東地区のゲーム差は4、同じく中地区は3のため、今週末の結果で順位が入れ替わることはないが、2位にいる両クラブにとってはここでゲーム差を詰め、プレッシャーをかけておく必要がある。

追いかける福島は前節、熊本に痛い2連敗を喫した。平均11.7点を挙げてチームを引っ張る菅野翔太は、「群馬との直接対決へ向けて、ここをしっかり取れれば首位通過の可能性が高まる。下を向くことなく、勝利に向けて調整していくだけ」と強気な姿勢を崩さない。

対する群馬の小淵雅は西宮戦で、観客にダイブしながらルーズボールをつなげて勢いに乗せ、勝利に導いた。「目の前にボールが飛んできたので飛び込まなければいけないと思い、それをたまたま味方が拾ってつなげて、オフェンスがうまく行っただけ。でも、そういったプレーを積み重ねることが重要」と、勝利への執着心を前面に出して首位決戦に向かう。

クラブライセンスが交付されることを信じて戦うだけ

強いだけではB1に上がれないのがBリーグのクラブライセンスだ。『バスケットボール界全体の安定的・持続的な成長と発展に寄与することを前提とし、育成面・施設面・選手環境面などを、プロリーグとしてふさわしい水準に保ち、さらに発展させることによって、クラブの価値が向上することを目的』とした基準に見合ったクラブにのみ、ライセンスが交付される。

西地区の3クラブはすでに交付を受けたが、東地区で首位を争う群馬と福島は継続審議中である。

中地区は2位の西宮が3月の時点でB1ライセンスを手にした。だが、首位に立つFE名古屋はまだ認められていない。昇格可能な権利を得たことで、西宮の士気は高まっている。松崎賢人は「1位にならないと意味がないことはみんなが分かっています。FE名古屋との直接対決も今週末を含めて4試合残っており、全部勝てば追い越すことができる。直接対決だけではなく、残る試合のすべてをもっと集中して戦っていくだけです」と話しており、首位のFE名古屋に挑む。

西宮のヘッドコーチ、髙橋哲也は「僕らの努力ではない」とファン、スポンサー、スタッフの努力のおかげでのライセンス交付であることを強調していた。また、継続審議中のクラブは「交付されることを信じて戦うだけ」と同じ意見であり、脇目も振らずにB2プレーオフへ向けた熱き戦いを繰り広げていく。

B1を目指す熱戦「今いるこの環境で精一杯戦うだけ」

B2に振り分けられたクラブのほとんどが、昨シーズンまではNBLまたはbjリーグでトップの争いをしてきた。B1との格差を感じながらも、戦っている選手たちはB2から盛り上げる使命も感じている。

西宮の松崎は「今までのJBL2やNBDL(いずれも過去の下部リーグ)に比べればレベルは高いですし、観客数も増えてきています。B2全体がもっとレベルアップできればBリーグにとっても良いこと」と言う。

小淵も同じように、「群馬もお客さんが増えてきて、盛り上がってきており、それが僕らの目標でもある。今いるこの環境で精一杯戦うだけ」とB2だって頑張っている。山本エドワードは、「B1が盛り上がる中で、B2が落ちてしまっていては意味がありません。しっかり自分たちから盛り上げて行く活動が一番重要になってくる」と話しており、首位の島根が先頭に立ってB2のレベルを引き上げている。

初代王者の称号と賞金5000万円をつかみ取るべく、B1は自然と盛り上がりを見せることだろう。だが、Jリーグと同じように入れ替えがあるB2の存在を忘れてはいけない。必死にもがき、這い上がるために戦い続けるB2だからこそ、昇格したクラブが来シーズンのB1でいきなり主役に躍り出る可能性だってある。Bリーグを楽しむファンは、『バチバチファイト』で火花を散らすB2にもぜひ目を向けてもらいたい。