レブロン・ジェームズ

文=神高尚 写真=Getty Images

シューター重視の『キャブズ式』を踏襲すべきだった?

プレーオフの望みが薄くなるとともにレイカーズとレブロン・ジェームズの周辺は慌ただしくなり、ネガティブなニュースが飛び交うようになりました。歴史ある人気チームにやってきたキングには開幕前から大きな期待が集まり、一気に優勝争いに絡むことが期待されたものの、レイカーズはシーズン終盤になってもケミストリーを生み出すことができませんでした。

何が失敗だったのかが話題になる中で、つまづいた要因とされるのがシューター不足です。昨シーズンのキャブスではレブロンのパスから平均11.5本の3ポイントシュートが生まれ38%の確率で決まりましたが、レイカーズでは平均8.7本で32%と低調であり、レブロンの能力を使いこなせなかったと指摘されています。

この点で間違いないのはレイカーズのシュート能力の低さで、3ポイントシュートの確率は2年続けてリーグで2番目に悪く、しかも有力なシューターの補強もなかったため、若手の成長で改善するしかありません。つまりシュート力不足はオフシーズンの時点で想定されていた課題で、シューターではなくプレーメーカーを補強したことに意味があったのかどうかは疑問です。

キャブズではレブロンのパスから3ポイントシュートを打つ形が目立ちましたが、実は優勝した2015-16シーズンだと今シーズンよりも少ない平均8.5本しか3ポイントシュートに結びついていません。カイリー・アービングやケビン・ラブのプレーメークをより活用していたのです。

キャブスはウォリアーズに4連敗した昨シーズンのファイナルだけでなく、レギュラーシーズンでも西カンファレンスのチームには5割の勝率と苦手にしており、レイカーズとレブロンが『強豪揃いの西カンファレンスで勝つ』そして『ウォリアーズに勝つ』ために選んだのが、複数のプレーメーカーという形だったのでしょう。

実際にこの点では結果も出ています。レイカーズは昨シーズン37勝しましたが、西カンファレンスの5チームに全敗、2チームに1勝3敗でしたが、今シーズンは31勝の時点で全チームから勝利を挙げています。

レイカーズがシューターを揃えなかったことはキャブス時代のレブロンを見れば失敗に思えますが、強豪揃いの西カンファレンスでは『レブロンの強烈な個性を生かす』だけでは勝ち残れないため、複数の攻撃パターンを求めたのだと考えられます。いずれにしても若手の成長があって初めて優勝争いに絡むチームになるので、『プレーオフに出る』が目標であれば誤った選択でしたが、『数年後に優勝する』ことをゴールとすれば、複数の選手がプレーメークをしながら成長を求めたのは理解できます。

レイカーズの誤算は東カンファレンスのチーム相手に大きく負け越してしまったことでした。西カンファレンスがスイッチを多用し、ミスマッチが発生しても個人で守り切るディフェンスが多いのに対し、東カンファレンスは相手エースに複数でディフェンスする傾向があります。つまりレブロンにマークが集中しやすいため、よりシューターの必要性が出てくるのが東カンファレンス相手の戦いでもあります。

個人の戦いが多くなる西カンファレンスでプレーメーカーを増やしたのは成功でしたが、経験と実績のあるシューターが少なすぎたことも事実なのでした。バランスの良い選手構成にできなかったのは大きな失敗でした。

その意味では補強したベテラン陣の選択は間違っていたのかもしれません。若手にプレーメーカーの役割を与えるのだから、ラジャン・ロンドやランス・スティーブンソンではなく、3ポイントシュートとディフェンスに優れたベテランを加えるべきでした。それを感じたフロントは、トレードデッドラインでレジー・ブルロックとマイク・ムスカラを加えましたが、シューターを利用するシステムを採用してこなかったため、付け焼刃にすぎないトレードは機能しませんでした。しかも、そのトレード要員も若手であったことを考えれば、シーズン開幕前に「周囲を固めるのはベテランのシューターにすべき」という判断ができなかったのは悔やまれます。

レイカーズとレブロンの2018-19シーズンの挑戦は失敗に終わりましたが、すべてが悪かったわけではありません。若手が多いだけに良かった部分を伸ばしながら、堅実な補強と計画的なチーム作りをしていくべきですが、人気チームゆえにトレードの噂が尽きることはなく、フリーエージェントでの大物獲得も噂されます。

現在のNBAでは、レブロンという世界最高の選手を加えるだけでは勝てないのは間違いありません。それだけに、個の強さをチームの強さに変換する戦術を確立する必要があります。若手を成長させながらチーム戦術を作り上げる難題に挑むのか、トレードに活路を求めるのか。レイカーズの次の選択はどちらでしょうか。