川崎ブレイブサンダース

文・写真=鈴木栄一

ファジーカス、マクリン、エドワーズの強力トリオ

3月13日、川崎ブレイブサンダースがホームに横浜ビー・コルセアーズを迎えた神奈川ダービー。要所でニック・ファジーカス、バーノン・マクリン、シェーン・エドワーズの3人が同時にプレーするビッグラインアップが機能した川崎が、83−76で勝利した。

第1クォーターは横浜の18-17と互角の展開。第2クォーターに横浜は開始から細谷将司の速攻などで連続6得点をあげ突き放しにかかるが、川崎は守備からリズムをつかむと藤井祐眞の3ポイントシュートで25-24と逆転してオフィシャルタイムアウトに。そしてここから序盤に出遅れたファジーカスが本領発揮で得点を重ねることで、37-29とリードを広げる。

試合が大きく動いたのは第3クォーター残り5分を切ってから。まず横浜がターンオーバー奪取から竹田謙、川村卓也が速攻でレイアップを沈めると、アーサー・スティーブンソンのインサイドで連続10得点をあげ51-50とひっくり返す。

だが、川崎は直後にファジーカスの得点で横浜の勢いを食い止める。さらにここから辻直人、長谷川技の連続3ポイントシュートに再びファジーカスがシュートを沈める10連続得点をやり返し、60−56と再逆転してこのクォーターを終える。

第4クォーター、川崎はこのクォーターだけで10アシストを記録と、パスをしっかり回すことで守備のズレを作りエドワーズを軸にした得点でリードを2桁に広げる。横浜も粘りを見せブランドン・コストナー、川村の連続3ポイントシュートで残り2分に6点差と詰め寄る。だが、川崎が次のオフェンスで、辻が3ポイントシュートを入れ返して勝負アリとなった。

川崎ブレイブサンダース

「7連勝していますが、課題もいっぱいあります」

川崎の北卓也ヘッドコーチは、「出だしからいいバスケをしてくれました。前節のライジング福岡との2試合目の前、失点を75点に抑えようと話をした後、これで2試合続けて76失点と、守備にフォーカスしてくれています。オフェンスも相手のゾーンディフェンスに対して警戒はしていましたが、パスを回してノーマークからシュートを決めてくれました。非常に判断が良かったです」と勝因を語る。

これまであまり活用できなかったファジーカス、エドワーズ、マクリンを同時起用するビッグラインアップを第4クォーターの10分間すべてで使った意図を「この布陣ではなかなか練習もできていないので、試合で長めに出してどうなるのか。また、この組み合わせだと3番を守ることになるシェーン(エドワーズ)が川村選手にどこまでつけるのかも見たかった」と明かす。

その上で、次のように評価をしている。「第4クォーター、点差が詰まってきたら変えようとも思っていましたが、押し通してくれました。徐々にコンビネーションが良くなっているのが収穫です。ただ、満足度は70%くらい。もっと引き出せるのではないかという気はしています」

これで7連勝と右肩上がりの川崎は、この週末に3ゲーム差で追う新潟アルビレックスBBとの中地区首位決戦に挑む。だが、勝利を決定づける一撃を含む16得点の辻は、「今は7連勝していますが、イケイケドンドンというわけではなく課題もいっぱいあります」と気を引き締める。まだまだ発展途上だが、大きな爆発力を秘めたビッグラインアップをどのように使っていくのか。この選択も新潟との大一番の行方を左右するカギとなりそうだ。

川崎ブレイブサンダース

横浜を支えるのはスランプを脱した橋本尚明

あと一歩のところでアップセットを逃した横浜のトーマス・ウィスマンヘッドコーチは、「ここ最近、格上と対戦している中でも勝てるチャンスは作れています。ただ、チャンスまでで止まっていて、あと一歩、勝ち切るまでいけていない。そこで勝ち切るまでに必要なのがディフェンスの遂行力。今日も相手チームに50%の確率でシュートを決められています。そこを改善していけば格上のチームにも勝てるようになる」と、ここ一番の守備で踏ん張れなかったことを敗因に挙げる。

この試合、横浜で目立つ奮闘を見せたのが3ポイントシュート4本成功による12得点を挙げた橋本尚明だ。開幕からずっとベンチスタートが、前節の千葉ジェッツ戦から先発起用している理由を、ウィスマンはこう語る。

「シーズン序盤はなかなか結果が出ずに少しコンディションが落ちていた部分もありました。ここ最近、スタートで起用しているのはディフェンスをしっかりとして試合に入っていきたいから。彼と竹田選手はアウトサイドのディフェンダーとしてはチームで一番です。彼のディフェンスで出してくれるエナジーはチームに本当に必要なものです」

敗れたとはいえ、3月10日の千葉ジェッツ戦に続き、上位チーム相手に見せ場を作っており、横浜は良い兆しが出てきている。だが、今週末に対戦するレバンガ北海道は、残留プレーオフを争いのライバルであり「確実に勝たないといけない相手」と指揮官は語る。そのためには、守備でのもうひと踏ん張りに加え、この試合での10本中3本成功を含めここ3試合で58本中26本成功に終わっているフリースローの改善も重要となってくる。

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