インプット→アウトプット→インプットのサイクルで学びを深める

6月14日から16日の3日間、富田林市立葛城中学校にて『第3回 元年ナーズキャンプ in 富田林』が開催された。

イベントを主催した『COACH平成元年ナーズ』は、愛媛オレンジバイキングスの保田堯之ヘッドコーチ、サンロッカーズ渋谷の澁澤秀徳アシスタントコーチら平成元年生まれの現役コーチ・チームスタッフの有志集団。2020年4月、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、『プロコーチが社会に対して何かできることはないだろうか?』とオンラインクリニックをYouTubeで無料配信したことがきっかけで活動をスタートさせた。2022年6月より活動の場をコートに移し、育成年代の指導と指導者育成を目的とした『元年ナーズキャンプ』を初開催。今回が3度目の開催となった。

育成年代のプレイヤーは無料参加で、競技レベルによる選抜はなし。指導者のカテゴリーは様々で、相互理解を深めることができるよう意図されている。

保田コーチは、グループに分けられた参加コーチをメインコーチが担当する『チューター制度』を採用し、指導者の学びをインプットだけでなく、アウトプットまで叶える完全実践主義が他の指導者クリニックとの違いを生み出していると説明。コーチミーティング(インプット)→練習やスクリメージにおけるコーチング(アウトプット)→コーチミーティングでの振り返り(インプット)というサイクルを実践することで、コーチの学びを促進する。

富田林市に縁のある中学1年生の男女を中心に行われた今回のキャンプの戦術テーマは、この時期に習得しておきたい「ノー・スクリーン・プレー」。キャンプ初日は、憧れの選手のシグニチャームーブを映像素材として用いて導入し、状況判断や戦術テーマに沿ってスキルを磨いた。その後、習得したスキルをチームの中で使えるよう、より実践的なバスケットボールに落とし込んでいき、それをスクリメージで習熟度を確認。スクリメージでは分析アプリを用いて、スタッツの読み解き方や、スタッツを伸ばすのため練習アイディアなどを実践的に学んだ。

保田コーチは以下のようにコメントしている。

「エリートキャンプでなく、経済力でも競技レベルでもなく選ばれた富田林の中学生を対象とすることは、指導格差の是正を目指す元年ナーズで強調している理念の一つです。バスケット経験の浅い選手を指導することは元年ナーズのメンバーにとっても大きなチャレンジですが、参加コーチを指導する立場の我々にとって、プロリーグと異なる舞台で異なる緊張感を持って臨めるこのキャンプは成長できる大きな機会となっています。3日間に渡るキャンプを通じて、選手やコーチ陣の成長を自他共に感じられるのも元年ナーズキャンプの醍醐味だな、と改めて感じられました。今後、この活動を多くのコーチに知っていただき、コーチの輪をどんどん広げていけるよう周知に力を入れていきます!」