「これまでのすべての犠牲が価値あるものとなった」

NBAファイナルの第5戦、セルティックスはマーベリックスに106-88で圧勝。シリーズ通算成績を41敗とし、2008年以来となる通算18度目のNBAチャンピオンに輝いた。

タレント豊富なセルティックスだが、チームの大黒柱はジェイソン・テイタムで間違いない。2017年にドラフト全体3位指名でセルティックスに入団したテイタムは、1試合平均23.4得点を挙げた3年目意向、エースとして常にチームをけん引していた。そして彼はそれ故に、優勝への重圧を誰よりも背負ってきた。

ようやくつかんだ悲願のNBAタイトル。試合終了直後のコートインタビューで、テイタムは感情を爆発させた。「オーマイガッド、俺たちはやったんだ!!」と叫んだ後、「信じられない気持ちで言葉で表すことはできないよ、申し訳ない。ここまで本当に長い道のりだった」と続けた。

会見で優勝した気分を聞かれると、こう答えた。「ドラフトされた時は夢を叶えた気分だったけど、優勝は今までで最高の気分だ。僕たちはチーム一体となってチャンピオンシップを勝ち取り、18個目の優勝バナーを掲げられる。これまでずっとバナーを見上げてきた。僕たちも歴史に名前を刻むことができるんだ」

「この7年間はアップダウンの激しいローラーコースターに乗っているようなものだった」と語るように、テイタムは名門セルティックスの中心選手として、多くのスポットライトを浴びると同時に批判にもさらされてきた。多くの困難を乗り越えて勝ち取った優勝に「これまでのすべての犠牲が価値あるものとなった」と安堵の表情を見せると同時に、何よりも感謝を強調する。

「自分が育ってきた環境、僕にバスケットボールをすすめてくれた両親、僕を育ててくれた祖母、助けてくれた友人や家族、これまでのコーチ、チームメイトに感謝している。多くの人々が、ジェイソン・テイタムの成功を支えてくれた。だから優勝した瞬間は、自分をサポートしてくれた人々への感謝の気持ちが湧き上がった」

過去2シーズンを見ても、セルティックスはファイナル敗退、カンファレンス決勝で34敗と、あと一歩で足踏みしてきた。頂点に近いところでの敗戦はより大きなダメージを伴う。ただテイタムは今、こういった悔しさを経たからこそ、より優勝の喜びを噛み締めることができている。

テイタムは語る。「失敗を経験したからこそ、優勝した時の気持ちはより素晴らしいモノとなる。自分が思っていたより10倍は素晴らしい気持ちだよ」

テイタムはまだ26歳で、これから全盛期を迎える。「今日の試合、試合後のセレブレーションはこれからの人生でずっと覚えている体験となった」と語る彼だが、今回の優勝は一つの終わりではなく、新しい伝説を作り上げる始まりとなるものだ。