カリーとカーはともに2026年に契約満了を迎える

スティーブ・カーがウォリアーズのヘッドコーチに就任したのは2014年のこと。この10年で彼のイメージは、『ブルズ黄金期を支えたシューター』から『王朝のヘッドコーチ』へと変わった。就任1年目から5シーズンで4度のNBAファイナル進出、3度の優勝。3シーズンのブランクを経て2022年に4度目のNBA制覇と、その指導者としてのキャリアは栄光の数々に彩られている。その彼は10年目のシーズンが後半戦を迎えたところで、ウォリアーズと新たな2年契約に合意した。『ESPN』によれば、新たな契約は2年3500万ドル（約53億円）で、年俸はこれまでから倍増となり、NBAで最も高給取りのヘッドコーチになるという。

この契約延長は極めてスムーズに行われた。かつては健康問題を抱えていた時期もあったが、今の彼は気力体力ともに充実しており、ウォリアーズが手放すはずはない。2年という契約期間は思ったよりも短いが、この理由にステフィン・カリーはすぐ気付いた。「分かったぞ、僕と同じ契約期間だ」と彼は微笑む。彼は2021年オフに、2022年から始まる4年契約にサインしている。これが満了を迎えるのが2026年オフ。ステフとカーは歩みを同じくしているというわけだ。

2025-26シーズンまで、今シーズンを含めてあと3度の優勝のチャンスがある。このシーズンが終わった時にステフは38歳になっている。35歳の今もトップパフォーマンスを維持し続ける彼も、その頃には年齢的な限界を迎えているか、少なくともそれを感じているだろう。そこまでウォリアーズとカーは、現体制で勝負に出たということだろう。

「このリーグの歴史上で、僕らに匹敵するような物語を築いてきた選手とコーチは数えるほどしかいないだろう」とカリーは言う。「彼の成功は選手に恵まれたからだと考える人は多いだろうけど、選手が揃っていれば成功するとは限らない。彼は就任したその日から、自分がチームのキーマンだという態度を取らなかった。自分だけでやるという雰囲気を一切出さない。それが重要だった」

ドレイモンド・グリーンは「大金を稼いだな」と笑った。彼もステフと同じように、カーの存在なくしてウォリアーズの成功も自分の成功もなかったと考えている。「ああ、他のコーチの下ではプレーしたくないよ。彼がもたらしたものは何物にも代えがたい」

もっとも、同じ試合は存在しないし、同じシーズンも存在しない。カリーもグリーンもクレイ・トンプソンも老いと無縁ではいられず、ここから勝ち続けるには若い力の助けが必要だという現実を受け入れてアジャストし、チームとしてのベストを尽くす必要がある。ただ、そのチャレンジに意欲を感じるからこそカーは契約延長を受け入れた。カリーを筆頭にウォリアーズの選手の誰もが、そのことを歓迎している。