『女王』JX-ENEOSのエースに成長した宮澤夕貴「自分が崩れたらチームも崩れる」

2019/02/07
Bリーグ&国内
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宮澤夕貴

文・写真=鈴木栄一

「ディフェンスからブレイク」のバスケットを徹底

2月16日からプレーオフが始まるWリーグは、レギュラーシーズンがいよいよ佳境に入っている。例年通り、順調な戦いぶりを見せているのが10連覇中の『女王』JX-ENEOSサンフワラーズだ。

2月2日、3日には昨シーズンのファイナルで対決したデンソーアイリスと激突し、2日は93-58と完勝。3日は79-66と点差は縮まったが、これは第4クォーターに主力がベンチに下がったことが影響したものであり、2試合ともに実力差を見せての勝利となった。

中心選手の一人である宮澤夕貴は次のようにこの連戦を振り返る。「ディフェンスからブレイクというJX-ENEOSのバスケットボールができている時は流れが良く、点差もつきます。ただ、そうでない時に我慢をどこまできるかが課題です。昨日、今日のデンソー戦は良かったですが、来週のトヨタ戦に向けて気を引き締めていきたいです」

この発言が示すように、強豪相手に申し分のない勝利を収めても宮澤に気の緩みは見られない。そこには皇后杯優勝の後、リーグ再開となった1月19日の富士通レッドウェーブ戦で、第1クォーターに8-27と出遅れ、そのまま盛り返せず64-86と今シーズン初黒星を喫した教訓もある。

「富士通に負けたのはチームにとって結構大きなことで、JX-ENEOSの弱さが出た試合でした。気持ちが緩んだまま試合に入ると、ああいう結果になってしまう。あの試合があったからこそ、出だしから自分たちのバスケットができるようにと、よりみんなが強く意識するようになりました。この2試合と出だしが良かったので、それは繋がっていると思います」

宮澤夕貴

「チャレンジすることでプレッシャーを力に変えていく」

実際、今回のデンソー戦の第1クォーターは2日に24-10、3日に28-14と、2試合ともに2桁のリードを奪っている。吉田亜沙美が先発から控えに回り、大﨑佑圭が今シーズンは不在と少なくない変化が起きたにせよ、課題をすぐに修正できるJX-ENEOSの盤石ぶりはこれまでと同じ。そして、この圧倒的な強さの維持に、宮澤が大きく貢献していることは間違いない。

先発メンバーから吉田と大﨑が抜けたことで、「昨シーズンと比べると、相手にフェイスガードで来られたりとより厳しくマークされるようになりました。これまでJX-ENEOSはインサイドを軸に攻めていて、自分のマークもゴール下に寄っていたりしていました。それが、今は自分にべったりついているチームがほとんどです。ただ、チャンスがあれば狙っていきますし、ドライブも仕掛けていきたい」と、徹底マークを受けてもなお、得意の3ポイントシュートを軸にした爆発力は健在だ。

そこには、チームの中心選手としてのより強い覚悟が気負いとならず、ポジティブに作用している側面もある。「自分が崩れたらチームも崩れると思っています。今年はオフェンスだけでなく、ディフェンスでもよりチームに貢献したい。メイさん(大﨑)がいない、リュウさん(吉田)が先発から外れた分、自分がしっかりやらなければと自覚と責任は強くなりました」

「プレッシャーは良い意味でありますが、あまり感じていません。チャレンジすることでプレッシャーを力に変えていく。日々前進がモットーなので、気づいたらうまくなったねと言われるように毎日やっていきたいです」

宮澤夕貴

「まずは目の前の試合に勝つこと」

いよいよ前人未到のリーグ戦11連覇を目指すプレーオフが目前と迫る。「先輩が築いてきたもので、それを継続していかなければいけない思いはあります」と語る宮澤だが、一方で「まずは目の前の試合に勝つことを常に考えています」と足元をしっかり見つめる。

だからこそ今、彼女が見据えているのは今週末に開催されるレギュラーシーズン最終週のトヨタ自動車アンテロープスとの連戦のみ。「トヨタ戦では、ディフェンスが鍵になると思います。どれだけ相手のエースを抑えられるか。どんな時でも、ディフェンスから走る自分たちのスタイルでプレーして、良い雰囲気でプレーオフに入りたいです」と意気込みを語る。

昨夏のワールドカップでは代表のエースとして一本立ちした宮澤が、JX-ENEOSにおいてもエースの役割を確実に遂行できれば、結果は自然とついてくるだろう。そのための準備は着実に行われているところだ。