新田

「良いプレーもあったのですが、精度は悪かった」

愛媛県からウインターカップに出場する新田は、人とボールが連動しながら相手を振り回す素早い攻めが持ち味のチーム。走る展開になれば無類の強さを発揮する半面、魅惑のバスケは不安定さにも繋がり、好不調の波が激しいチームでもある。

ウインターカップの初戦となった出雲北陵との試合でも、その魅惑のオフェンスとムラっ気は存分に発揮された。試合開始からわずか7秒で川中天斗が電光石火のレイアップで先制点を奪い、2分とたたないうちに川中が3ポイントシュートにバスケット・カウントも決めて11-3と猛烈な波を起こす。しかし、その川中が膝を痛めて一度ベンチに下がるとチームは失速する。

第3クォーター途中に4点差まで詰め寄られたが、そこから2年生のシックスマン福島健太とコートに戻った川中が主役となって再びのオフェンス爆発。キャプテンの平岡祥汰がフリースローでコツコツと加点して、第3クォーター終了時点で64-48と16点差まで突き放した。その後はターンオーバー連発により自分たちでリズムを乱すも、良い波の時間帯に得たリードを守って最終スコア90-79と逃げ切った。

好不調の波が大きいことは選手たちも自覚している。川中はアグレッシブに攻め続けて28得点を挙げる大活躍を見せたが、「良いプレーもあったのですが、精度は悪かった。決めるべきシュートを確実に決めるようになれば自分たちはもっと強いと思います」と話す。

「自分たちが良いプレッシャーを掛けて守れている時は、相手のミスから速攻に繋げられます。僕たちの良い時間帯はディフェンスの良い時間帯。僕たちが安定して戦えないのはディフェンスとリバウンドが安定しないからだと思います。10点ぐらいのリードで気の緩みが出てしまって、相手の連続3ポイントシュートで差を詰められたり。そうじゃなく20点、30点と一気に差を広げられるように。そういう厳しさが必要です」

川中天斗

「見ている人に『面白い!』と思ってもらえるバスケを」

もう一つ課題を挙げるとすれば、チームとしての持ち味を生かす『ラン&ガン』でペースをどんどん上げていくのか、安定感を出すためにある程度は落ち着かせるプレーを織り交ぜていくのかのバランスだろう。ポイントガードの堀江晴は、このチームで唯一と言っていい『落ち着かせる』タイプのプレーヤー。彼がボールを持つと攻めの勢いは落ち着くが、少しでも持ちすぎると走ってナンボの新田の強みは出てこない。ゲームの流れを読まずして安定感が備わることはないが、その適切なバランスを見いだすのは簡単ではない。

出雲北陵戦では堀江の『落ち着かせる』プレーはハマらなかったが、玉井剛コーチによれば「どの選手も堀江をすごく信頼してボールを預ける」とのこと。ゲームの流れを読まずして安定感は備わらないことを、チーム全員が理解している。司令塔の堀江が難しいバランスをどう取るかが、新田の今後のカギとなりそうだ。

チームの目標はベスト8進出。川中は「この1年間、良いディフェンスをして中と外でバランス良くシュートを打つ、今まで皆さんが見たことのないようなオフェンスができるようにと目標を掲げてやってきました。見ている人に『面白い!』と思ってもらえるバスケをして、目標を達成したい」と語る。

好不調の波をなくすことは、新田の魅力である爆発力を削ぐことになりかねない。波をなくすのではなくコントロールして、良い時間帯を長く、その爆発力をさらに高める。そのアジャストが大会期間中にできれば、きっと良い結果が出るはずだ。ただ、山場はもう25日の2回戦で訪れる。次に戦う県立広島皆実は、夏のインターハイ1回戦で97-125で敗れた相手。得意の点の取り合いで連敗するわけにはいかない。