デローザンとラビーンが欠場した試合で連敗ストップ
現地11月30日のバックス戦は、ブルズにとってバック・トゥ・バック(2日連続の試合)の2試合目で、ケガを抱えるデマー・デローザンとザック・ラビーンが欠場した。5勝14敗と大きく負け越し、直近で5連敗を喫しているチームが2人のエースを欠いたのでは、勝つ望みはないはずだった。
しかし、コービー・ホワイトにパトリック・ウィリアムズ、今シーズン初先発のアヨ・ドスンム、ベンチから出るルーキーのジュリアン・フィリップスといった若手が、いつもの試合より増えた役割をきっちりとこなした。チームのターンオーバーは21とミスが目立ったが、若くて向こう見ずな積極性が普段のブルズにはないエネルギーをもたらし、若手の作った良いリズムに乗ったベテランのジェボン・カーター、トーリー・クレッグ、アンドレ・ドラモンドも力強いプレーを見せ、強豪バックスと一進一退の攻防を繰り広げる。
キャリア3年目のドスンムは、過去2シーズンよりプレータイムが減り、スタッツも落ちている。それでも今シーズン初先発となったこの試合で、ポイントガードのコービー・ホワイトをサポートしながらピック&ロールで攻撃の起点となり、ニコラ・ブーチェビッチに有利なシチュエーションを作って得点力を引き出し、前から激しく当たるディフェンスでチームを引っ張った。デローザンとラビーン不在の状況でチームがペースを上げ、激しさを増したのはドスンムの先導によるところが大きい。
ドスンムは言う。「練習で日々やっているプレーをやっただけさ。誰も見ていないところでも努力を怠らなければ、それが試合に表れる。僕はシュートアラウンドでも試合前の練習でも、いつも40分間プレーする気持ちでやっている。そうならない日が多いとしても、常に準備をしていれば今日みたいなプレーができる」
103-96とリードした第4クォーター残り1分半から、ヤニス・アデトクンボのダンク、マリーク・ビーズリーとブルック・ロペスの3ポイントシュートを浴びて逆転され、再逆転を狙ったウィリアムズのダンクがアデトクンボの強烈なブロックに阻まれる。それでもフリースローを与えて3点差とされたラスト5秒の最後の攻めで、アレックス・カルーソが起死回生のブザースリーを沈めて追い付いた。カルーソは言う。「オフから数えきれないほどシュートを打ってきたけど、試合ではプレーメークがメインだから自分で打つ機会はあまりない。ああいうチャンスが自分に来るとワクワクするよ」
BIG TIME PLAYERS MAKE BIG TIME PLAYS. pic.twitter.com/pOnvtOemaB
— Chicago Bulls (@chicagobulls) December 1, 2023
こうなると試合の流れはもうブルズのものだった。残り1分14秒、ドスンムのゴール下のシュートを背後から迫ったアデトクンボが弾き出すが、ゴールテンディングと判定されて第4クォーターに決めたクラッチブロックの再現ならず。これでリズムの乱れたバックスはミスが続く。カルーソのスティールから走ったウィリアムズがダンクを決め、残り31秒で117-110とリードを広げるとブルズファンは大興奮。最後もバックスの不用意なミスからウィリアムズのワンマン速攻が飛び出し、派手なダンクで試合を締めくくった。
『ビッグ3』で唯一出場したニコラ・ブーチェビッチはシーズンハイの29得点。「全員が力を合わせたおかげで勝てた。みんないつもよりアグレッシブで、ただシュートを打つだけじゃなくお互いのためにチャンスを作り、ディフェンスの動きをよく読んでいた。僕がボールを持った時のハンドオフだったり、いつもと違う種類のプレーも上手くいった。ただ、結局は激しく戦ったから勝てたんだ」
チームが開幕ダッシュに失敗したことで、ラビーンにもデローザンにもトレードの噂が出ている。2人が欠場して長い連敗を脱したことで、トレードが加速するかもしれないが、ブーチェビッチは機先を制してそれを否定した。「あの2人がチームのベストプレーヤーだ。彼ら抜きで一つ勝つことはできたけど、大きなことを成し遂げるには彼らが必要だよ」
ドスンムも同じことを話した。「ザックもデマーも素晴らしい選手だよ。今日はチームとして結束することで勝てた。彼ら2人が戻ってそれができないわけじゃない。過去2シーズン、彼らの力で勝った試合はたくさんあっただろ? だから今日はその恩返しなんだ」