[CLOSE UP]太田敦也(三遠ネオフェニックス)まだまだ上達できる32歳の意欲と、世界を経験して後輩たちに伝えること

2017/01/24
日本代表
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文=小永吉陽子 写真=小永吉陽子、野口岳彦

力不足を痛感したOQT「今の練習は日本に必要なことばかり」

206cm112kg。日本代表のセンターとして長年身体を張り続けている太田敦也。昨年度まではbjリーグの中で唯一、日本代表に選ばれてきた存在であり、32歳になった今年も、ルカ・パヴィチェヴィッチ新体制の下、インサイドの柱として選出されている。

これまでに出場したFIBA主催の国際大会は、アジア選手権3回(2011、2013、2015年)、アジアカップ3回(2012、2014、2016)。そして世界規模の大会としては昨夏のオリンピック世界最終予選(以下OQT)に出場している。

そんな国際大会のキャリアが長い選手でありながらも、昨年は、OQT後に開催されたジョージ・ワシントン大との親善試合やアジアチャレンジにおいて、若手や代表経験の少ない選手に交じって選出された。その理由を前ヘッドコーチである長谷川健志は「OQTでプレータイムが少なかったことと、メインのセンターとしてどれくらいできるのか試したかった」と話している。

そう、彼はいつも同い年の竹内公輔と竹内譲次にインサイドでプレータイムを明け渡し、ベンチから出てきては『つなぐ』存在だった。そんな太田は、毎年代表に選ばれることで少しずつの歩みではあるが上達する姿が見えてきている。それは、スクリーンにいくスピードやタイミング、リバウンドに行く回数や走る回数、崩れなくなったディフェンス、ノーマークでシュートを決める確率など随所に現れてきており、だからこそ、遅まきながらもメインセンターで試す機会が訪れたのだと言える。

「この歳になって、ようやくバスケットが分かってきたのかもしれません。センターの僕が誰よりも真っ先にアグレッシブに動くことで、チームの流れが良くなってくる。それがこの歳で分かったから余計に、もっとうまくなりたいと思います」

また、こう言えるようになった理由の一つに、昨年出場した世界の舞台、OQTでの経験がある。OQTでラトビアとチェコに完敗した後、太田はこう言っていた。

「日本は世界の強豪と呼ばれるチームに比べれば明らかに力不足で、その足りないところは一つではなく、とにかく全部において全く足りませんでした。そのレベルの違いは自分の認識をはるかに超えていました」

これは前ヘッドコーチ以下、実際にOQTに出場したすべての選手が体感したことであり、現在パヴィチェヴィッチ・テクニカルアドバイザー指揮の練習は、そうした日本に足りなかったことの一つひとつにフォーカスを当てている。例えば太田にはスクリーンの精度を高めることが求められているが、これまで国際大会で通用しなかったピック&ロールの場面をビデオで細かくチェックし、相手をよく見て判断することや、スクリーンをかける角度やスピードの強弱、足の踏み込みまで細かく指示を受けている。

「今、日本代表でやっている練習はとても細かいけれど大切なことばかり。これまでの国際大会で通用したこと、しなかったことを見直しながら練習することが、今の日本にとって必要なんだと思います」

「センターもゲームを作る」の一言で湧き出たさらなる意欲

太田はパヴィチェヴィッチから「センターもゲームを作っていくんだ」という一言をもらい、今まで以上に奮起しているという。

「ゲームメークはガードがするかもしれませんが、一番動いて、一番しんどい当たりの強さでぶつかり合いをするのはセンターだから、そのタフな動きをもってゲームを支配することを求められています。そう言われたことがうれしくて、今のモチベーションになっています」

これまでもこれからも、太田にまず求められるのは、フィジカルコンタクトに負けないディフェンスとリバウンド、強く正確にかけるスクリーンである。身体を張り続ける地味な役割ではあるが、パヴィチェヴィッチが言うようにゲームを支配する重要かつ不可欠な役割だ。

「毎試合、僕と同じ112kgの選手や、それ以上の重さがある選手とガシガシぶつかりあうのは本当にしんどいですけど」と前置きしながらも、東京オリンピックに向けてスタートが切られた新体制での活動について、抱負をこのように述べた。

「今のままでは世界相手には本当に通用しないので、自分や経験ある選手たちが練習の細かいことを疎かにしないことで、その重要性を後輩たちに伝えていきたい。自分も今まで以上に練習をきちんとやっていくことで、また一日一日、うまくなっていきたいと思います」