コール・アンソニー

ヨキッチにトリプル・ダブルを許すもアシストを封じる

現地11月22日、マジックは本拠地アムウェイ・センターでナゲッツに124-119で競り勝った。

ナゲッツの数少ない弱点は、スタートの5人と比較してセカンドユニットの実力が劣る点。82-91で始まった第4クォーター序盤、セカンドユニットのモリッツ・バグナー、ジョー・イングルス、ギャリー・ハリスが立て続けに3ポイントシュートを決めて一気に点差を詰める。セカンドユニットの牽引役で、この試合で20得点を記録したコール・アンソニーは言う。「ウチのセカンドユニットには、他のチームなら先発を任せられる選手が5人いる。みんなエゴを出すことなく、お互いに支え合うことで力を発揮しているんだ」

それでも、ナゲッツ相手に健闘するチームの大半が、ニコラ・ヨキッチを筆頭とするクラッチタイムの勝負強さに最後は屈してしまう。だが、今回の彼らは苦しい時間帯を耐えしのぎ『王者』を退けた。

マジックはありとあらゆる手を尽くしてナゲッツに抵抗した。ポイントセンターのヨキッチを止めるべく、ゴガ・ビタゼとパオロ・バンケロがフィジカルなディフェンスを粘り強く続けたが、ヨキッチは30得点13リバウンド12アシストを記録している。勝負の第4クォーターには大量15得点を奪われた。

ただ、これはマジックにとっては想定内。バンケロは試合後に「2点はいいんだ」と明かす。「どんなプレーでもこなすヨキッチは止めようがないから、彼に2点を奪われてもいいと考えた。必要以上にヘルプに行ってパスをさばかれ、3ポイントシュートを打たれるのを避けようとした。終盤は2点を取られても『それじゃ僕らは死なない』というメンタリティでプレーしていたよ」

第4クォーターのヨキッチのアシストはわずか1。それも残り7分半のもので、それ以降はアシストを許さず、クラッチタイムの3ポイントシュートはコールドウェル・ポープの1本しか許さなかった。さらにヨキッチに与えたフリースローはわずか5本。3ポイントシュートとフリースローという効率の良い得点を極力排除したことが、ギリギリの勝負で勝ちを引き寄せることに繋がった。指揮官ジャマール・モズリーが「我々はディフェンスのチーム。耐えて耐えて最後に1点でも上回ればいい」といつも話している通りの粘り強さで、ナゲッツを振り切った。

長らく勝てていないマジックが『勝者のメンタリティ』とも呼ぶべき終盤の勝負強さを発揮できるのは、しかもナゲッツに競り勝つほどの強さを発揮できるのはなぜだろうか。バンケロは試合が止まるたびにハドルを組むことが選手間の結束を強めていると言う。

「試合中にコーチができることは限られている。僕ら選手がステップアップして、みんなで責任を背負って、互いに支え合いながら戦わなきゃいけない。冷静さを欠くようなことがあってはダメで、ハドルを組むたびにお互いの心を落ち着かせる声を掛け合っている。誰かがミスをしたり、悪い流れにハマりそうになっていたら、そこで立ち直るきっかけをつかむんだ」

バンケロがそう言うと、会見に一緒に出ていたコール・アンソニーと阿吽の呼吸でフィストバンプした。チームが強い絆で結ばれていることは、その様子からも見て取れた。

勝因は様々あり、どれか一つでも欠けていたらナゲッツが勝っていただろう。下馬評を覆したマジックはこれで5連勝。バックス、ヒート、セブンティシクサーズという東カンファレンスの強豪と並んで、首位セルティックスと2ゲーム差の2位につけている。