ディアロン・フォックス

接戦を危なげない勝利へと変える、抜群の勝負強さ

昨シーズンは開幕4連敗しながらも西カンファレンス3位に躍進したキングスは、今シーズンも2勝4敗と苦しいスタートを切りました。しかし、それはエースのディアロン・フォックスが欠場しての3連敗も含んでおり、ここまでフォックスが欠場した試合の得点は平均102.6、出場すれば平均127.0と大きな差が生まれています。エースの存在感の大きさを感じずにはいられないものの、7勝4敗と持ち直してしっかりと上位に食い込んできました。

現地11月17日のスパーズ戦でフォックスはフィールドゴール成功率58%の43得点、7アシストでターンオーバーは1つと完璧な内容でチームを勝利に導きました。試合序盤からビクター・ウェンバニャマのリムプロテクトへの警戒をみせたキングスは、ドライブでウェンバニャマをゴール下のヘルプにおびき出してはコーナーへキックアウトしての3ポイントシュートで攻略する作戦を採用しましたが、ワイドオープンにもかかわらずシュートミスが多くゲームプラン通りの展開にはなりませんでした。

そんな中、フォックスだけはコーナーの3ポイントシュートをしっかりと決め、なおかつスパーズがコーナーへの警戒を強めてディフェンスローテーションを早めたと見るや、判断良くゴール下へ切れ込み、イージーショットへと繋げました。冷静な判断での攻略だけでなく、ブロックに待ち構えるウェンバニャマへアタックし、空中でコンタクトして押し込むことでブロックの届かないリリースポイントのレイアップを決めるなど、真正面からの勝負でも決めきりました。チームとしても個人としてもウェンバニャマにブロックショットを記録させないことに成功したのです。

キングスはオフェンスは良かったものの、ディフェンスではファウルトラブルやローテーションミスなどの問題を起こし、ウェンバニャマの高さにあらがえず27得点を奪われ、ザック・コリンズやケルドン・ジョンソンを止めることもできず、試合は終盤まで接戦となりました。

そうなれば昨シーズンのクラッチプレイヤー・オブ・ザ・イヤーのフォックスにキングスが勝負を託すのは当然の流れです。

それまで6アシストとパスを散らしていたフォックスですが、第4クォーターは1アシストのみで得点にシフト。さらには6つのリバウンドを奪うなどディフェンスでの存在感も強めました。8点リードとなった残り1分半からは時間をたっぷりと使ってから個人で仕掛けて得点を奪い、接戦だったのが嘘のように危なげない勝利へと繋げました。第4クォーターだけで12得点を奪っただけでなく、チームを勝たせる能力を遺憾なく発揮したのです。

まだまだシーズンは始まったばかりで、新加入選手やケガ人などもあってチームとしての完成度は高まっていませんが、フォックスがいれば何も問題がないと言わんばかりの盤石な試合展開でした。キングスの頼れるエース、フォックスの冷静な判断力と勝負強さは今シーズンも健在です。