ジェイレン・グリーン

28得点のジェイレン・グリーン「勝ててうれしい」

アンソニー・デイビスが欠場していなかったとしても、試合展開はさほど変わらなかっただろう。レイカーズの選手はオフェンスでもディフェンスでも、オンボールの時だけプレーしているような有様で、エネルギーも集中力も欠いた。フィールドゴール成功率42.9%とシュートが入らない。唯一エネルギッシュに活躍した八村塁の14本中10本成功という数字を除けば、その数字は37.1%まで低下する。シュートが入らない日こそ別のところでハッスルすべきだが、ディフェンスは緩慢で、リバウンドを追わない。スイッチが入らないまま大差をつけられ、レブロン・ジェームズを始めとするスター選手たちは早々にベンチに下がった。

一方のロケッツは良いところばかりが目立った。再建から抜け出し、プレーオフを目指すチームが持つべき激しさが随所に見られた。開幕3連敗を喫したが、その後に4連勝。チームは自信とプレーする楽しさで満ちている。

指揮官のイメイ・ユドカは「どんな予想よりも順調だ」とチームの戦いぶりに手応えを感じている。「勝っているからそう言うわけじゃない。ウォリアーズ戦では最後に突き放されて負けたが、チームが正しい方向に向かっていると感じられた。ディフェンスは積極的で、オフェンスでは無欲で。この4試合、その感覚を選手たちはなぞってきたんだ」

この試合で注目を集めたのはディロン・ブルックスだ。グリズリーズに所属していた昨シーズン、彼はレブロンと何度も衝突した。選手の『格』では全く相手にならないが、彼は『キング』にひるまず立ち向かい、侮辱的な言葉を含むありとあらゆる手を使って勝ちに行った。ロケッツに移籍して初めてのレブロンとの対戦を前に「抑えてみせる」と力強く語っていた。

実際、試合開始からフェイスガードでべったりと貼り付き、レブロンの集中を妨げることなら何でもやった。ずっとコンタクトを続け、顔に近い位置でディナイをして、ドライブで抜かれたと思えば身体をつかんで止める。レブロンはこれにストレスを感じ、リズムに乗れず18得点に終わっている。

オフェンスを引っ張ったのはジェイレン・グリーンだ。フレッド・バンブリートがチャンスメークに徹して得点は9と伸びなかったが10アシストを記録。アルぺラン・シェングンもインサイドで起点となるサポートを受け、積極的にアタックしてゲームハイの28得点を記録した。

「勝ててうれしい」とグリーンは笑顔で語る。「僕たちは『勝てないチーム』というカテゴリーに長くいたから、チームの進歩が見られるだけでもうれしいし、勝てばもっとうれしい」

ティップオフの瞬間からエンジン全開。攻守にアグレッシブにプレーして試合の主導権を得たことが、レイカーズに本来の力を出させず完勝する結果を生んだ。「そう、それが僕たちのやり方なんだ」とグリーンは言う。「常にアグレッシブでありたい。最初の2クォーターでとにかく攻めて、後半はそのまま押し切る。それが今の僕らのメンタリティなんだ」

「僕らはお互いを信じ、チームとしても自信を持っている。これで4勝3敗と勝ち越した。まだ先は長いけど、毎日努力を続けていきたい」

過去2シーズン、ロケッツは一度も勝ち越していなかった。まだシーズンは始まったばかりだし、一つ勝ち越しただけだが、『勝てないチーム』と言われ続けたロケッツにとってレイカーズ相手の快勝、そして勝ち越したことは大きな自信になる。