警戒される『ツインタワー』ではなく日本人選手が得点
B1の得点ランキング2位はダバンテ・ガードナーで、7位がクリント・チャップマン。つまり新潟アルビレックスBBの外国籍選手が上位に並んでいる。それは2人の能力を証明するデータだが、日本人選手が「取れていない」という現実でもあった。しかし年が明けて後半戦に入り、チームに変化の兆しが見えている。
中地区3位からの浮上を目指す新潟が21日にホームへ迎えたのは、西地区2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。外国籍選手のオン・ザ・コート数は新潟が「2-1-1-2」で、名古屋は「1-2-1-2」となっていた。
第1クォーターはお互いのシュートがなかなか入らない展開だった。ただオン・ザ・コートが一人多い新潟はチャップマンの6点、ガードナーの5点とスコアを重ねる。佐藤公威が3本の3ポイントシュートをすべて外した影響などでロースコアに止まったが、14-13で1点のリードを奪って最初の10分を終えた。
第2クォーターはオン・ザ・コート数「1」の新潟が、「2」の名古屋を逆に上回った。残り9分22秒に五十嵐圭が3ポイントシュートを決めると、8分54秒にも五十嵐がスティールから高速ドリブルで自ら運んでレイアップ。その後も遥天翼、畠山俊樹らの日本人選手が順調に得点を重ねていく。第3の外国籍選手スティーブン・バン・トリースが10分間のうち6分43秒を任されたが、自らのポイントはなくともチームオフェンスによくフィットしていた。
五十嵐は第2クォーターの終了間際にもブザーと同時の劇的な3ポイントシュートを決め、10分間で10ポイントを決める大活躍だった。新潟は1点ビハインドから27ポイントを加え、10点リードに37-27でハーフタイムを迎えることになった。
名古屋のポイントガード笹山貴哉は「外国人のところを注意していたんですけれど、そこを注意しすぎて周りにやられてしまった。相手のシュートも当たっている中で、(外国籍選手と日本人の)どっちを止めればいいのかなと戸惑ってしまった部分がある」とこの試合の守備を振り返る。
名古屋はハーフタイムを利用して守備の修正を図ったが、今度は五十嵐がペイントエリア内のダブルチームを逆手にとって味方を上手く生かした。すると第1クォーターで決め切れなかった佐藤が後半に爆発。第3クォーターは3ポイントシュートを4本中3本成功するなど11点を決め、第4クォーターも好調を維持する。
「第1クォーターに躊躇しないで打てたのが後半につながった。(五十嵐)圭さんが狙えなかった時にフォローしないといけないけれど、そこの連携は今シーズンが始まってからずっと取れている。合わせを上手くできた」と佐藤は言う。
名古屋のレジー・ゲーリーヘッドコーチは状況をこう説明する。「五十嵐がアグレッシブに来るのは分かっていたけれどそこを前半は全く止められず、後半は対応できたが佐藤のシュートが入り始めた」
名古屋はオフェンスも第3クォーターを終えた時点で、シュートの成功率が26.9%と大きく低迷。「簡単に言うとシュートが入らなかった。外からも中からも入らなった。それ以上のことは何もない」とヘッドコーチが顔を曇らせる展開だった。
ポイントを抑えるディフェンスで名古屋Dを封じる
新潟は61-41と大きくリードして第4クォーターに入る。本間遼太郎、八幡圭祐と今季はほとんど出場時間を得ていなかった選手も起用する余裕の試合運びで、中2日の強行日程の中で主力の出場時間を抑えることにも成功。八幡は残り27秒から今季初得点を決め、ベンチとブースターがどっと盛り上がった。
名古屋は笹山が第4クォーターに3ポイントシュートを4本成功して意地を見せたが届かず。新潟が83-69で名古屋に先勝している。畠山俊樹の負傷というアクシデントこそあったが、攻守の噛み合った快勝だった。
佐藤が「相手にやられたくないポイントがあるんですけれど、(ジャスティン)バーレルに対してのダブルチームなどで名古屋のリズムを崩せた」と説明する堅守も光った。オールスターでも活躍した「JB」ことバーレルを8得点に封じたのも、新潟の大きな勝因だろう。
新潟はこの勝利で17勝14敗と貯金を「3」に伸ばし、中地区2位の三遠ネオフェニックスと1ゲーム差まで詰めている。チャンピオンシップ進出も視野に入る位置だが、庄司ヘッドコーチは浮上に向けた条件として日本人選手の活躍を挙げる。
「日本人がいかに得点に絡むことができるか、いかにアタックできるか、3ポイントだけでなくファウルをもらってフリースローを打てるか……。それが後半戦の大きなカギになってくると思います。日本人のパフォーマンスなくして上位チームを食っていくことはできない」
この試合は佐藤が20得点で新潟のポイントリーダーとなり、五十嵐が14点で続いた。リバウンド、スクリーンなど外国籍選手の貢献も小さくなかったが、遥や畠山、池田雄一も含めて得点源が分散していた。庄司ヘッドコーチはこう収穫を口にする。
「今年の2試合は日本人のポイントがクローズアップされると思います。(18日)横浜戦は46点で今日は58点。日本人のポイントがウチはリーグの最下位だったけれど、この2試合でできることを証明できた。彼らが色んな部分で自分に変化をもたらしながらプレーしているところを見て、成長を感じました」
日本人の活躍が奏功して難敵を83-69と下した新潟が、2017年の連勝スタートを決めている。
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