大浦颯太

古巣からの声援に「良い環境でやらせていただいていたな」と実感

10月28日、秋田ノーザンハピネッツが三遠ネオフェニックスをホームに迎えた一戦で、特別指定選手時代を含めて4シーズンを秋田で過ごした大浦颯太がCNAアリーナ☆あきたに帰ってきた。

アウェーではあったが、試合前やコートに立つ瞬間に大浦へは大きな声援が送られた。コロナの影響でクレイジーピンクの100%の応援を受けたことがほとんどなかったという大浦だが、自身が素晴らしい環境にいたことをあらためて感じたという。「加入してからはコロナですぐにシーズンが終わってしまったので、声を出しての応援というのが1、2回くらいしか味わえませんでした。フルで声を出しての応援の中でプレーしたことはあまりなかったですが、本当に良い環境でやらせていただいていたなと思いました」

古巣との最初の対戦時、その試合を特別視する選手は多い。大浦も例にもれず意識していたというが、「欲を出し過ぎずに、チームでの自分の役割に徹する」ことを念頭に置いていたという。そして、コートに立った直後に3ポイントシュートを沈めると、前線からプレッシャーをかけてパスミスを誘い、ワンマン速攻を決めるビッグプレーを披露した。大浦はこう振り返る。

「空いたので積極的に狙っていって、決められたので良いスタートが切れました。ディフェンスでの成長だったり、スキルを上げていきたくて秋田に入りました。三遠はガードにボールをプッシュさせないというルールがある中で、秋田の名残というか、習ったことを表現できた一つのプレーでした」

三遠は序盤こそターンオーバーからのミスが相次ぎ先行されたが、持ち味である堅守速攻に加え、堅実なハーフコートオフェンスも披露し、その後のクォーターをすべて上回って88-74で快勝した。大浦は21分8秒のプレータイムで7得点2リバウンドに加え、チームハイ(タイ)の4アシストを記録。古巣のファンに堂々とした姿を見せたい願望は少なからずあったようで、「大活躍できればよかったですけど……」と語ったが、攻守に持ち味を発揮し、及第点以上のパフォーマンスを見せたと言える。

大浦颯太

大野HC「もともと得点力のあるポイントガードだと思っていました」

三遠は今回の勝利で連勝を6に伸ばし、7勝1敗で中地区2位につけている。平均88.8得点はリーグ1位の数字で、そのオフェンス力が際立っている。それは大野篤史ヘッドコーチが掲げる「ペース&スペース、その後のリード&リアクト(ディフェンスを読んで反応する)」を選手が体現できているからに他ならない。

実際に大野ヘッドコーチも「去年からいるメンバー、新しく入ったメンバーがうまく成長できていると思いますし、ここまでは順調にチームとしての成長を感じられています」と手ごたえを得ている。
昨シーズンは主力の離脱が相次ぎ中盤から失速したが、その積み上げに加え、新戦力のフィットの早さが現在の好調な成績に繋がっている。

そのため、新加入でありながら、ここまで8試合すべてに出場し平均20分以上のプレータイムを得ている大浦の存在は非常に大きい。大野ヘッドコーチもこのように大浦を評価している。「もともと得点力のあるポイントガードだと思っていました。シュートは良いモノを持っていて、シュートファーストのポイントガードです。ただ、軽いミスは多いので、ポイントガードとしてどういうミスをしてはいけないのか、どうゲームの流れをつかむのか、相手の気持ちに立って考えられるようにと、今持っている課題を克服していこうという話はしています」

実際に指揮官とのコミュニケーションも円滑に行っているようで、大浦も「今の三遠のスタイルにすごく合っている」と充実した表情を浮かべる。「自分の気持ちや意見を大野さんとも話しながらプレーできているので、新天地というやりにくさは少ないです。トランジションの中でバスケットをやることが多いので、決まったプレーで動くというよりも自分たちの判断の中で自由に動けています。そこには責任もありますが、自分の思うようにやれているのかなと思います」

古巣で培った経験を生かし、新天地でさらにその輝きを増している大浦。プッシュ力のあるシュートファーストなガードが三遠の躍進を支えている。