森井健太

琉球・桶谷HC「セカンドユニットで森井くんを中心にチームバスケができてるところが嫌でした」

10月21日に開催された横浜ビー・コルセアーズ対琉球ゴールデンキングス第1戦。ホーム開幕戦であり昨シーズンチャンピオンシップのリベンジマッチで、横浜BCは宿敵を89-66と一蹴した。この勝利の大きな要因の1つは、横浜BCのベンチメンバー、いわゆる「セカンドユニット」の活躍だった。

琉球の桶谷大ヘッドコーチはこの試合、身長201cmのヴィック・ローを河村勇輝のマークマンとして起用した。司令塔兼エースが徹底マークされ、横浜BCは波に乗り切れない展開が続いたが、第1クォーター残り2分、河村と交代した森井健太がゲームをコントロールし始めると展開は一変。激しいディフェンスで琉球のターンオーバーを誘い、第2クォーター開始早々から5連続得点で一挙11得点を奪って14点差をつけ、以降の展開を優位に進めることに成功した。

翌日の第2戦は70-88で琉球に星を返されたが、この日も河村が下がった時間帯に琉球の得点を封じ、点差を縮めることに貢献している。2戦を終えた桶谷ヘッドコーチは、記者会見で以下のように語っている。

「河村くんが出ている時間は彼を抑えるのに必死ではあるんですけど、昨日はセカンドユニットで森井くんを中心にチームバスケができてるところが嫌でした。今日も森井くんが出ている時間帯が結構…あそこはしっかり準備しないとなかなか守るのが難しいなと。河村くんがいる横浜さんと、森井くんが作る横浜さん。どっちもすごくいいチームだと思いましたし、2つのチームと戦っている感じですごく嫌でしたね」

森井健太

「相手が嫌がる、隠したいと思っているポイントを効果的に攻めることはゲーム前から意識していました」

森井自身もこの2試合に大きな手応えを得ているようだ。

「先週の群馬戦もそうでしたが、苦しいゲームは勇輝が点を取らざるを得ない状況になっているのが課題だと感じていました。勇輝が出ている時間帯はその得点力やクリエイト力を生かしてもらいつつ、自分の時間帯は相手が嫌がる、相手が隠したいと思っているポイントを効果的に攻めることはゲーム前から意識していましたし、昨日今日はその部分に関してはうまくいったと思います」

森井は週末の試合後、次節の対戦相手の映像を見て、そこで見つけた相手の弱点を週明けの練習で伝えることをルーティーンとしている。琉球戦前に森井が着目したのはアレックス・カークのディフェンス。「カーク選手はインサイドはすごく強いけれど、アウトサイドまで出てこない印象があったので、そこを突いたスクリーンプレイを作って、ビッグマンとウイング陣のズレを多く作るように心がけました」と明かす。

昨年までセカンドユニットとしてプレーすることが多かったパトリック・アウダと森川正明がチームを去り、現在は新たなメンバーとケミストリーを構築している最中。「特にユトフ(ジェロード・ユトフ)とスコット(ジョシュ・スコット)がどうやったら気持ちよくプレーできるかを考えることは、今一番取り組むべきことかもしれません」と力を込める。

「彼らと佑成(杉浦佑成)、曜(西野曜)のステップアップは去年より上に行くには欠かせません。どのタイミングでパスを出すか。どのタイミングでよさが生きるか。仲間の良さをいかに引き出すかがポイントガードの一番おもしろいところだと思います。仲間たちの強みを引き出すという点ではまだまだ完成度が低いですが、かねてから『セカンドユニットのハンドラー兼得点源としてプレーしてほしい』と言っている昂矢(須藤昂矢)がこの2戦でその期待に応えてくれたし、すごく手応えを感じる2試合でした」

森井健太

蓄積ダメージを与え、河村の爆発へと続く道筋を作る

エースの河村が、ワールドカップを経てさらに凄みを増していることは誰の目にも明らかだろう。しかし、バスケットボールという競技、そして年間60試合以上を積み重ねるBリーグは、一人のスーパースターで勝てる類のものではない。河村のパフォーマンスとチームのそれが乖離せず、彼がいない時間帯にも異なる強さを発揮できているということに関して、森井の存在は非常に大きい。

「セカンドユニットが堅実なディフェンスから速攻で点を取ったり、ハーフコートオフェンスで効果的なシュートでオフェンスを終えるということを続けると、相手にちょっとずつダメージが加わります。そのタイミングで勇輝が爆発するとチームとしては盛り上がるので、そこまでの道筋を作るのが自分の役割かなと。他の4人にうまくボールタッチさせることや、相手の弱点を瞬時に見分ける力には自信があるので、状況を見て『この選手が当たってくればこの先勢いに乗るな』というところまで考えてゲームメークをしていきたいです。その中で、自分が大事なところで3ポイントを決めたり、アタックしたりすることでさらなるプラスアルファを生むことが必要かなと思います」