スティーブ・カー

クリス・ポールを迎え入れての開幕「全員が受け入れなければならない」

ウォリアーズの指揮官スティーブ・カーが、トレーニングキャンプ開始を前に会見を行った。2021-22シーズンには優勝を勝ち取ったが、昨シーズンは様々な問題を抱えた1年となり、カンファレンスセミファイナルでレイカーズに敗れて幕を閉じた。そこから再スタートを切るウォリアーズの合言葉は『コネクティビティ』、つまりチームの結束だ。

昨シーズン最後の会見で、カーは「結束力が壊れてしまった」と苦戦の原因に触れた。開幕前の練習中にドレイモンド・グリーンがジョーダン・プールを殴る事件が起こり、ベテランと若手の間に溝が生まれた。これはウォリアーズにとって決して繰り返してはならない過ちであり、それはプールをトレードで放出した今も変わらない。

「コーチとしての私の仕事は、選手たちが結束できるようにすることだ。前回の会見で、昨シーズンはその仕事が上手くできなかったと言った。今シーズンの私の仕事の大部分は、チームを結びつけることになる。それは長いプロセスだ。ただ去年は優勝したことで気の緩みがあった。良くないことだが、それが人間というものだ。だから不本意なシーズンを経た今回、選手を集中させるのはずっと簡単だ」

ベテランと若手の共存と、ゆるやかな世代交代を進めていた昨シーズンから一転、38歳のクリス・ポールを迎え入れたウォリアーズは、ステフィン・カリーを始めとする黄金時代を築いたメンバーが衰える前に一つでも多くのタイトルを勝ち取る方針だ。それでも、クリス・ポールはウォリアーズが長年熟成してきたスタイルにとっては『異物』で、ここを上手く『結束』させることが一つのポイントとなる。

クリス・ポールを先発で使うのか、セカンドユニットで使うのか。大事な選択だが、カーはまだ決めていない。むしろシーズンを戦いながら落ち着くべきところを探っていくつもりだ。「基本的には先発は6人で、試合に出るのは5人だ」とカーは言う。

「どうするかはまだ決めていないが、いろんな組み合わせを試すつもりだ。もちろん、6人すべてが多くのプレータイムを得る。これが上手くいけば、誰が先発で誰がそうでないかにかかわらず、全員が受け入れなければならない。チーム全体として納得することで初めて機能する」

ダリオ・サリッチ、ゲイリー・ペイトン二世、ウスマン・ガルーバを加えた現状、すでにチームに明確な穴はない。ウォリアーズはまだロスター枠を2つ、2ウェイ契約の枠を1つ残しているが、この数カ月で50人近くの選手をワークアウトに招待しながら、枠を空けたままトレーニングキャンプが始まることを苦にしない。優先すべきはチームの『コネクティビティ』を壊さない、むしろ高めてくれるようなパーソナリティを持ち、14人目、15人目の選手としてウォリアーズに参加することを心から喜べる人物だ。

「信じられないほど競争力のあるグループだ。これから問題は出てくるだろうが、自分たちの努力で解決し、選手たちが納得して進むべき道を見いだすと確信している」とカーは言う。大苦戦の昨シーズンを終えてすぐにアメリカ代表でも重責を担ったコーチとは思えないほど、その表情はこれから起きるポジティブな出来事を楽しみにしているようだった。