ジョシュ・スコット

河村とのコンビ「一緒にプレーすることで互いを補完してより危険な存在になれる」

昨シーズン、横浜ビー・コルセアーズはBリーグのチャンピオンシップ、天皇杯でともに4強入りと大きなステップアップを遂げた。そして、エースの河村勇輝が残留したことで、新シーズンはBリーグ初のタイトル獲得へ期待が増している。

もちろん、横浜BCの期待値が高いのは河村が残留したからだけではなく、オフの戦力補強に成功したと多くの人が評価しているからだ。森川正明、CJ・ジャクソン、パトリック・アウダらが去ったが、ジョシュ・スコットとジェロード・ユトフ、西野曜と即戦力が加入した。移籍したメンバーたちと同等のケミストリーを作り出せるかは未知数だが、少なくともタレント力の底上げに成功している。

そんな期待の新戦力の中でも特に注目したいのがスコットだ。横浜BCの外国籍を見ると、スコット以外はユトフ、デビン・オリバーと共にウイングタイプの選手。また、帰化枠のエドワード・モリスは昨シーズンの平均出場時間が約7分に留まり、チャンピオンシップの4試合では出番がなかった。つまり、チームの主力において純粋なビッグマンはスコットのみで、彼が攻守においてこれまでのようにゴール下で存在感を発揮することが横浜BCの躍進に欠かせない。

先日行われた越谷アルファーズとのプレシーズンゲームは72-82で敗れたが、スコットは30分の出場で12得点、16リバウンドと順調な仕上がり具合を見せていた。「現段階において、チームには順調にフィットできていると思います。合流してから間もない中、今は他の選手たちの得意なプレーを理解している途中です。また、僕がどんなプレーを得意とするのかをみんなに知ってもらっているところで、毎日良くなっています」

このように手応えを語るスコットは、新天地として横浜BCを選んだ理由を明かす。「横浜BCは昨シーズンに大きなステップアップを遂げたチームです。そして、チーム全員が勝利に飢えていて、さらなるステップアップを目指しています。これこそ僕が求めている環境です」

そして、特に注目の集まる河村との連携について、自信をのぞかせた。「勇輝とはまだ、ほとんど一緒にプレーできていないですが、彼と一緒にプレーできることは本当にエキサイティングです。僕たちは一緒にプレーすることで互いを補完してより危険な存在になれます。これからケミストリーを高められることを楽しみにしています」

ジョシュ・スコット

「周囲の否定的な見方は自分のモチベーションになるから好きです」

昨シーズンの河村はスコットの古巣である宇都宮ブレックス戦で、2試合続けて30得点を挙げ連勝の立役者となった。特に2試合目は、河村の『3ポイントブザービーター』によって73-72の劇的勝利を収めた。「昨シーズン、勇輝にはこっぴどくやられました」とスコットは苦笑いで当時を振り返った。「冗談で言ったりしますが、彼に片足ジャンプでの逆転3ポイントシュートを食らった場面を思い出すと、未だに心が痛みます。あれは嫌な記憶ですね(笑)」

現在30歳のスコットは今シーズンが日本で7年目だ。チームの中で年長組になるのは今回が初めてだが、リーダーとして周囲を牽引していきたいと新たな役割を歓迎している。「横浜BCは若い選手が多く、プロ生活の中で初めてチームの中で年上となりました。ただ、僕は十分な経験を積み、リーダーとしての役割をこなせると信じています」

冒頭でも触れたが、スコットには昨シーズンの躍進を支えたCJ・ジャクソンと同じく、ゴール下の守護神を担うことが求められる。スコット本人も「(ジャクソンとの)比較をされることはあると思う」と考えているが、あくまでも自分らしいプレーを貫くことしか意識していないという。

「CJは優れた選手ですが、僕とはプレースタイルも違います。CJがやってきたことを自分がこなすというより、自分の持ち味を発揮してチームに貢献することを考えています。それがこのチームに加わった理由ですから。また、昨シーズンにどこがうまく機能し、セミファイナル進出などの成功を収められたかは試合を見て理解しています。そこに自分の強みを付け加えたいです」

2020-21シーズンに宇都宮に加入する前、琉球ゴールデンキングスの所属していたスコットは膝の大ケガにより2年連続でシーズンの大半を欠場した。そのため復活に否定的な声もあったが、3シーズン続けて宇都宮の中心選手として活躍し、完全復活を証明した。

スコットは言う。「これまでも僕に疑いの目が向けられることは何度かありました。だけど、宇都宮では2度ファイナルに進出し、優勝を成し遂げて、自分が活躍できることを証明しています。僕にとって、周囲の否定的な見方は自分のモチベーションになるから好きです。自分が成長を続けていくことで、成功を継続していくことができます。新しいチームでの、新たなチャレンジを楽しみにしています」

パワーと機動力を備えるスコットはトランジションオフェンスでフィニッシャーにもなれる。河村という相棒を手に入れたことで、今まで以上の躍動感のプレーでコートを縦横無尽に走り回ることができるか要チェックだ。それができた時、横浜BCの新たなゴール下の番人としてスコットの存在が確立されているはずだ。

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