冷静な試合運びでセーフティリードを保つ
1月6日、川崎ブレイブサンダースがホームで秋田ノーザンハピネッツと対戦。秋田の前から当たる激しい守備に苦しめられる場面もあったが、冷静に対処することで試合を通してリードを保ち72-58で逃げ切り勝ちを収めた。これで川崎は連勝を3に伸ばしている。
第1クォーター、川崎は藤井祐眞の連続3ポイントシュート成功で8-2と先手を取る。その後、秋田の激しく当たるディフェンスにこのクォーターだけで6ターンオーバーとミスが目立つが、一方で4つのスティールを記録。秋田から8ターンオーバーを誘発したように、堅守で主導権をキープすると、ニック・ファジーカスが高確率でシュートを沈め19-9とリードする。
第2クォーターに入っても川崎の堅守は続き、秋田はフリーの外角シュートを決めきれないこともあり、残り約4分半になってようやくこのクォーターで最初の得点を決めた。この時点で川崎のリードは倍増し、40-22と大量リードで前半を終える。
84-62と大勝した前日に続き、このまま川崎の一方的な展開かと思われたが、後半に入って秋田が反撃を開始する。指揮官のジョゼップ・クラロス・カナルスが「今日は2種類のゲームとなりました。前半は昨日と同様に勝つためのインテンシティが足りなかったし、勝つためのエナジーを出せなかった。しかし、(第2クォーター途中)24点差になってから普段は出場時間が少ない選手が頑張って、そこからは良い試合ができた」と語ったように、前半とは見違えるプレーを披露する。
守備の強度をさらに強めると、前半は7本中0本成功だった3ポイントシュートを下山大地が決めるなど攻撃にも良い流れが波及する。第3クォーターの序盤に8連続得点を挙げると、残り5分にはカディーム・コールビーの得点で34-42と1桁にまで点差を縮める。だが、ここで川崎は落ち着きを取り戻し、秋田の前掛かりになる守備の隙を突くようにパスを回してイージーシュートの機会を作り出し、ファジーカスやシェーン・エドワーズが加点。17点リードと再び突き放した。
第4クォーター、秋田も本日16得点と奮闘した下山の長距離砲、中山拓哉のペネイトレイトなどで食い下がるが、川崎は動じず。冷静な試合運びでセーフティリードを維持しつつ勝利した。
青木と谷口、経験を積み計算できる戦力へと成長中
川崎の北卓也ヘッドコーチは、「年明け最初のホームゲームを連勝できて良かったです。試合前、昨日以上に秋田がプレッシャーディフェンスをしてくると話し、それに対して煽られて熱くなるな、ファウルを取られても熱くなるなと常々言いました。多少は煽られましたが、選手たちは冷静に対処してくれました」と総括。相手の激しいプレッシャーをうまくいなせることができたと振り返る。
ただ、「ターンオーバーが16あり、ポイントガードで9なのは(藤井6、篠山3)は反省しないといけない。ゲームコントロールは少しずつ良くなっていますが、まだ、イケイケどんどんなところがあり、良いシュートで終われるようにしていかないといけない」と課題にも言及した。
収穫と言えるのが、昨日(16分22秒)に続き今日も15分以上の出場時間をマークした青木保憲、谷口光貴のベンチメンバーの頑張りだ。「昨日も良かったので、今日も早い段階から使おうと思っていました。ディフェンスからしっかりやろうというマインドが出ている。得点は少しペースが落ちるかもしれないですが、相手に得点を取らせないことをやってくれているので、少しずつ成長しています」と若手メンバーの向上には手応えを得ている。
特別指定の長谷川暢「出場時間は伸びていく」
川崎にとって次の試合は、天皇杯ベスト8の千葉戦となる。「天皇杯、非常にタフなゲームとなるので良い準備をして臨みたい」と指揮官は気を引き締めるが、この連勝は良い弾みになったのではないだろうか。
一方、天皇杯ですでに敗退している秋田にとっては、次の試合は1月16日のアルバルク東京戦で、オールスターブレークも入れると約2週間で1試合のみ。カナルスヘッドコーチは、この間を使い「特に長谷川(暢)選手、ドワイト・コールビーの新加入選手は練習を通してチーム、自分たちのシステムに慣れないといけない。自分たちのような若いチームは練習が必要で、しっかり次の試合に勝つために必要なことを練習していきたい」とチーム戦術のさらなる浸透に力を注ぐ。
そして、特別指定で加入したばかりでありながら今日も含めてすでに2試合で先発起用し、プレータイムを与ている長谷川には「自分たちのスタイルをもっと理解してもらう必要があり、大学とBリーグのレベルが違うのでそこにも慣れないといけないです。ただ、私たちが求めていることをできる能力を持っています。出場時間は伸びていくと思います」と、今後のさらなる活躍に期待を寄せている。
この試合がない期間でいかにチームを鍛え上げることができるのか。11勝20敗と負けがこんでいる秋田にとって、後半戦での巻き返しに向け大事な準備期間となるのは間違いない。