原修太

ディフェンスに手応え「Bリーグと同じような仕事ができていると思います」

男子日本代表が8月4日、ニュージーランドとの強化試合第2戦を実施した。日本は初戦を79-72で制したが、この日は中1日を挟みコンディショニングが向上した相手に75-94の完敗を喫した。

この試合、日本はニュージーランドの激しいコンタクトに攻守に渡って苦しめられ、自分たちの得意のペースに持っていくことができなかった。特にディフェンスでは力強いアタックを止められず、そこで生まれたズレからイージーシュートを許し大量失点に繋がった。

総体的に見れば、日本はニュージーランドのフィジカルに屈したが、個人で見れば問題なく対処できていた選手もいた。その代表と言えるのが原修太だ。トム・ホーバスヘッドコーチも称えたように、この試合でも持ち前の強靭な肉体を生かした強度の高いディフェンスで、相手ガードにプレッシャーを与え続けていた。

原も「いつも通り、自分の仕事をしたかなと思います」と振り返る。また、原は試合終了後にしばらく動かなかったが、「第4クォーターまで、ほぼプレータイムがなかったところからフルで前からプレッシャーをかけていたので疲れました」と、その理由を明かした。

これで日本は韓国、ニュージーランドとの強化試合をそれぞれ1勝1敗で終えた。敗れた試合は相手のフィジカルに苦しめられたが、原に関しては全く問題ないようだ。「この4試合、フィジカル面で言えば、語弊があるかもしれないですけど圧倒されたという思いはないです。正直に言えば、Bリーグの外国籍選手たちの方が強かったりします。(昨シーズンの同僚だった)クリス(クリストファー・スミス)、ヴィック・ローの方がすごいです。Bリーグと同じような仕事ができていると思います」

こう原が言及するように、まだベストメンバーではないニュージーランド代表よりもB1の外国籍選手たちの方がタレントレベルは上だろう。その難敵を相手に1対1でも当たり負けしないタフなディフェンスを見せ、「Bリーグでも価値を証明してきました」と自信を持つ原にとって、フィジカルで劣勢に立たされたと感じないのは当然のことかもしれない。

原修太

「競争は楽しいです。自分を監督、選手に評価してもらえることも楽しいです」

オフェンス面に関しても「特に前半はチームのオフェンス自体がうまくいってなかったですが、打てるシュートは打てていました」と言い、3ポイントシュート3本中0本成功をそこまでネガティブにとらえていない。現在の日本代表はオフェンスにおいて3ポイントシュートが最重要視されているが、原は外角シュートの確率に一致一憂することはない。「3ポイントシュートの波が激しいと自分でも思っています。例えシュートが入らなくても、ディフェンス面で求められることをやっているので、特にアピールできなかったという意識はないです」

日本代表が本大会前に行う実戦は、いよいよ15日のアンゴラ戦、17日のフランス戦、19日のスロベニア戦のみとなった。当初、トム・ホーバスヘッドコーチはフランス戦を前に12名を決めたい考えを明かしていたが、昨日の試合後には「(フランス戦の前)12名にしたいですけど、するかは分からない。本当に2番、3番のポジションは難しいです。もう少し見たいです」と、決断が伸びる可能性を示唆した。

この2番、3番の激しい競争の渦中にいる原だが、「自分が呼ばれたのはディフェンス面だと思いますし、アタックも求められているのでそれを続けていきたいです」と、意識するところにブレはない。

また、ホーバス体制での経験が最も浅いため一番下からのスタートと語っていたが、その心境も変わっていない。そして、同じポジションのライバルではなく、常に自分にベクトルを向け続けている。「好みもありますし、どの面が一番評価されるかは分からないので常に下っ端という気持ちでやっています。ただ、試合に出て、自分の仕事は全試合でできていると思います。それで落ちたら後悔もないですし、やり切った気持ちになれる。そしてこの先、残ったとしても自分の仕事を全うするだけだと思います」

激しいロスター争いは心身ともにタフだ。特に原はBリーグのファイナルまでプレーしている。合宿直前までシーズンを戦っていた中で代表活動に入ったが、本人は「楽しいです」と語る。「ずっと合宿で家に帰れないのはストレスですけど、競争は楽しいです。自分をいろいろな監督、選手に評価してもらえることも楽しいです。昔はめちゃくちゃ怒られていましたけど、今はそんなに怒られていないのでキツくないです(笑)」

Bリーグで外国籍相手に通用すれば、世界を相手にしても戦えるのか。この議題に誰よりも相応しい実績を残してきた原が、本大会で世界の強豪相手にプレーする姿を見たい人は少なくない。