先発ポイントガードには早々にデリック・ホワイトを指名
昨シーズン、セルティックスは2年連続のファイナル進出を逃し、2008年以来のNBA制覇はまたしても持ち越しとなった。先日にリーグ史上最高規模となる総額3億ドル(約430億円)の契約延長で合意したジェイレン・ブラウンと、ジェイソン・テイタムの2大エースが全盛期のうちになんとしても黄金時代を樹立したいチームは、今オフに入って大きなテコ入れを実施した。タフな守備でチームを鼓舞する精神的支柱であったマーカス・スマートをトレードで放出するなど、大きな代償を支払ってウィザーズからクリスタプス・ポルジンギスを獲得した。
昨シーズン、ウィザーズで65試合出場、平均23.2得点、8.4リバウンドを挙げたポルジンギスは、課題となっていたビッグマン強化にうってつけの即戦力だ。しかし、サラリーキャップに余裕がなく、スマートの穴埋めとして即戦力のガードを補強する余裕はなかった。新シーズンはデリック・ホワイト、マルコム・ブログドンに加え、昨シーズンは大一番になるとローテーションから外れていたペイトン・プリチャードの3人がガード陣のメインとなるため、残留メンバーの底上げが不可欠となっている。
ここで注目を集めるのは、ブログドンに対するケアだ。本来であれば、ポルジンギスの獲得は3チームが絡み、ブログドンをクリッパーズに放出する予定だった。しかし、クリッパーズはブログドンのコンディション面への不安を理由にトレードを拒否。その結果、スマートを新たな交換要員として、グリズリーズを絡めた3角トレードで獲得した経緯がある。
最終的に残留したブログドンだが、加入1年目の昨シーズンは67試合出場で平均14.9得点、 4.2リバウンド、3.7アシスト、フィールドゴール48.4%を記録。プレーオフでは右肘の故障もあって、平均11.9得点、フィールドゴール41.8%と本来の力を発揮できなかったが、 シックスマン賞を受賞したようにシーズン全体を通しては及第点のパフォーマンスだった。それなのに首脳陣が放出を画策していた訳で、ブログトンが少なからずショックを受けたのは想像に難くない。新シーズンに向け、ブログドンの精神面のケアが欠かせないことは、ジョー・マズーラヘッドコーチも十分に理解している。
『The Athletic』の取材に対して指揮官は「まずはケアがあり、その後で彼の意見を聞く過程が続く。そしてチームがどの位置にいて、何をしなければいけないかを確認していく。組織として、(ポルジンギス獲得に関する)状況においていくつかの会話があったことは理解している。今は癒しの過程からできる限り前進していくつもりだ」とコメントした。
このようにブログドンの心境を慮っているマズーラだが、一方でスマートに変わる新たな先発ポイントガードにデリック・ホワイトを早々に指名している。シックスマンとして機能しているブログトンの起用方法を変えたくない面もあるだろうが、セルティックス加入前はバックス、ペイサーズで長らく先発を務めていたブログトンのプライドを傷つける発言であることに違いない。
昨シーズンのプレーオフでは、指揮官としての統率力不足を指摘する声も出ていたマズーラだけに、ブログドンへの対応などチームをうまくまとめていく必要がある。新シーズンは長期政権を目指す上でターニングポイントになるはずだ。