ガード陣に有望株が揃うブレイザーズは、タイラー・ヒーローに興味なしか
先日、ブレイザーズのデイミアン・リラードは、ドラフト全体3位指名権を絡めた即戦力の獲得など自身が要求していた新シーズンで勝てるための補強を球団が行わなかったことで遂にトレードを要求した。リラードは2012年ドラフト全体6位指名で入団してからこれまでブレイザーズ一筋で11シーズンを過ごし、フランチャイズの顔であり続けた。クラブはそんなリラードへの感謝に加え、チームへの忠誠心を失った中心選手を留めておくことのマイナス面も考慮し、この要求に応じることを表明している。
7月15日には33歳の誕生日を迎えるリラードだが、昨シーズンに自己ベストの32.2得点を挙げたように衰えは全く見られない。ここ一番での勝負強さも持ったリーグ屈指のスコアリングガードだけに、複数のチームが獲得に興味を持っていると報じられている。だが、トレード成立には時間がかかりそうな模様だ。その大きな理由は、リラードがヒートへの加入を望んでいることにある。
第8シードからファイナルに進出したヒートにとって、リラードが加入してジミー・バトラー、バム・アデバヨとの『ビッグ3』を構築することは、オフのFA戦線で流出したゲイブ・ビンセント、マックス・ストゥルースの穴を補って余りある強化となる。
ただ、ここで問題になるのはブレイザーズが、ヒートの提示しているタイラー・ヒーロー、ドラフト1巡指名権を中心とした交換条件に興味がないと見られている点だ。今、ヒートが提示できる若手有望株はヒーローであるが、チームはスクート・ヘンダーソン、シェルドン・シャープ、アンファニー・サイモンズとガード陣に有望株が揃っている。ここに同じガードで、さらに4年1億2000万ドル(約173億4,000万円)の大型契約を抱えるヒーローを加えることに興味がないのは妥当と言える。
一方でリラードの契約にはトレード拒否条項がないため、ブレイザーズは彼を自由に放出できる。だが、ヒートにしか興味がないことを明らかにしているリラードに対し、他チームがブレイザーズの納得できる好条件を提示して獲得に乗り出すことはないだろう。
現実的には、ブレイザーズ、ヒートを含む3チーム、4チームを絡める大型トレードでヒートはリラード、ブレイザーズは即戦力の若手とドラフト1巡指名権を獲得するのが落としどころとなりそうだ。だが、1対1の交渉ではなく、複数のチームの思惑が絡むとなれば交渉はより複雑となる。リラードの去就が確定するのはまだまだ時間がかかりそうだ。