ヒートのお株を奪うハッスルを見せ、後半に突き放す
NBAファイナルはマイアミに舞台を移しての第3戦へ。ヒートのファンで埋まるアリーナで、ナゲッツが素晴らしいパフォーマンスを見せて完勝を収めた。
前半は両チームとも特徴を出しながらも差の付かない展開に。ヒートはゴール下を固めてイージーシュートのチャンスを作らせず、3ポイントシュートも打たせないのだが、ジャマール・マレーとニコラ・ヨキッチは巧みな連携から相手の警戒の薄いミドルレンジからのフローターを次々と放っては決めていく。
ヨキッチの足元にカイル・ラウリーが飛び込んでスティールからの速攻に繋げたりとハッスルではヒートが上。思い通りのディフェンスができており、インサイドとアウトサイドでバランスの良いオフェンスもできているにもかかわらず主導権を握れない。
53-48とナゲッツの5点リードで迎えた後半、開始からナゲッツが6-0のランでリードを2桁に広げて主導権を握った。第3クォーターはナゲッツが29-20と上回るのだが、差を作り出したのはナゲッツのハッスルだった。
前半はインテンシティのヒート、スキルと連携のナゲッツという攻防だったが、後半に入ってナゲッツがインテンシティの強さ、ボールへの執着心でヒートに負けないようになり、オフェンスリバウンドをマイケル・ポーターJr.とともに競ったアーロン・ゴードンが押し込むなどむしろ上回る。
さらに、ここでルーキーのクリスチャン・ブラウンが大仕事をやってのける。鋭いカットでゴードンのアシストを引き出してイージーレイアップを決めると、ジミー・バトラーのパスをカットしてワンマン速攻でのダンクに繋げる、マレーとヨキッチのピック&ロールに相手の集中が向いたところでゴール下に飛び込んでバスケット・カウントをもぎ取って快調に得点を重ねていく。ディフェンスでもバトラーの1対1を止めるなど、ベンチから出た若手の活躍という意味でもヒートのお株を奪うことになった。
第4クォーター残り8分半で93-72とナゲッツがリード。第4クォーターで圧倒的な勝負強さを見せるヒートは、ここで取ったタイムアウトから立ち直る。ディフェンスではマレーへのダブルチームが効き、攻めに転じればラウリーの3ポイントシュート、バム・アデバヨが粘り強くオフェンスリバウンドを拾ってゴール下を押し込んだりと本来のハッスルを取り戻して追い上げに転じるが、ナゲッツの質の高さもまた変わらない。マレーが難しい3ポイントシュートを返し、ヨキッチのパスからケンテイビアス・コールドウェル・ポープがファウルを誘ってフリースローで得点を繋いだりと、セーフティーリードを保ったまま時計を進めた。
残り3分半、ヒートは84-101と17点差を付けられてもまだあきらめていなかったが、タイムアウトの間にヒートのファンの多くが帰り、スタンドには空席が目立つように。観客が早々にあきらめてしまってはヒートも底力を発揮できない。残り2分からヒートはバトラーを始め主力をベンチに下げて白旗を掲げた。
最終スコア109-94でナゲッツが勝利。マレーはゲームハイの34得点を挙げ、さらに10リバウンド10アシストでトリプル・ダブルを記録。ヨキッチは32得点21リバウンド10アシストというモンスタースタッツでのトリプル・ダブルを記録した。ヨキッチは「今日は集中していたし、コミュニケーションが良かったので勝てた。スタッツが話題になるだろうけど、試合に勝てたこと、特にここマイアミで勝てたことが大きいと思っている」と語っている。
これでナゲッツが2勝1敗と先行した。第4戦は中1日を挟んで、再びマイアミで行われる。