ジャマール・マレー

「苦戦していても、自分たちに何ができるか、その自信は失わない」

ナゲッツはレイカーズとのカンファレンスファイナル第2戦を108-103で制した。勝利の立役者となったのは、37得点を挙げたジャマール・マレーだ。

最初に均衡が崩れたのは第2クォーター最初の2分、マレーがベンチに下がっている間に八村塁の連続シュートを含む7-0のランを浴びた時間帯で、ナゲッツはそこからリズムを崩して最大11点のビハインドを背負った。そこからは長らくレイカーズがリードしたが、ナゲッツは第3クォーター終盤に盛り返す。

ここではマイケル・ポーターJr.のトランジションスリー、アーロン・ゴードンのダンク、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープとブルース・ブラウンの連続3ポイントシュートとマレー不在のラインナップで試合をひっくり返した。それでも勝負の第4クォーターには、マレーがフィールドゴール7本中6本成功、そのうち4本は3ポイントシュートで、さらにフリースロー7本成功の23得点を記録。シリーズ連敗スタートは避けたいレイカーズが奮闘するも、これをねじ伏せた。

八村塁がパワフルな守備でニコラ・ヨキッチのポストアタックを阻む。このレイカーズのディフェンスは機能しているのだが、ここでナゲッツはヨキッチで無理に攻めるのではなく、ヨキッチがリングに背を向けてプレーメークに回り、マレーで勝負を決めに来た。

マレー爆発の要因はもう一つあった。第3クォーターまでのマレーはフィールドゴール17本中5本成功、3ポイントシュートは9本打って成功わずか2と、サイズのあるジャレッド・バンダービルトのマークに苦しんでいた。それでもヨキッチ対策で八村のプレータイムが伸び、バンダービルトは良いプレーを見せていたにもかかわらず第4クォーターはわずか2分の出場に。こうしてマレーの恐るべき爆発力が解放された。

試合後の会見でマレーは「前半からシュートを決めていれば、もっと楽なんだけど」と笑顔を見せ、こう続ける。「とにかく自信を失うことなく、自分のプレーを続けることだ。打ち続ければ絶対に決まる。それを忘れなければいい。何回か連続して外しても気持ちをリセットして、集中を高め、何事もなかったように打つんだ」

「苦戦していても、自分たちに何ができるか、その自信は失わない。僕らは第1シードであり、それを示すようなプレーをするんだ。だから、僕らは苦戦することがあっても、耐えて押し返すことができる」

レブロン・ジェームズのチェックをモノともせずシュートを打って決める精神的な強さが、チームに大きな勢いを与えた。タフショットのようにも思えるプレー選択だが、ノッている時の彼は打ち切るべきだと確信している。「オープンショットを意識しすぎる必要はない。そこはメンタルが問われる部分だね。前半はダメだったけど、後半は必死にプレーした。どう調整すればいいのかは分かっているし、第4クォーターで上手くまとめたいと思っていたよ」

マレーがプレーオフの試合で第4クォーターに20得点超えの爆発を見せるのはもう4回目。『バブル』のシーズン、ジャズのドノバン・ミッチェルとの打ち合いは今もファンの記憶に残っている。

「バブルは2020年で、今は2023年だよ。僕はケガから復帰してプレーしている。このレベルでプレーできるようになったからには、以前のことは語らないよ」と彼は言う。

レギュラーシーズン中からマレーは、膝の十字靭帯断裂を負うまでの自分と今の比較を避けてきた。「僕の全盛期はこれから来る」と何度も繰り返し、それを追いかけてきた。今が『その時』だ。ジャマール・マレーは2023年のプレーオフを謳歌している。