レギュラーシーズンの戦績は千葉Jの3勝1敗
この記事を開いてくれた全ての皆様、数字の沼へようこそ。自称日本一スタッツをとる素人である私・しんたろうが、公式サイトのボックススコアから一歩踏み込んだ、アドバンスドスタッツを紹介・解説する。
今回は、過去に2度、ファイナルで雌雄を決した千葉ジェッツvsアルバルク東京を分析していこう。
◆今回利用するスタッツ
※各スタッツの詳細・計算式は参照記事に記載
・2FG%=2ポイントシュート決定率
・3FG%=3ポイントシュート決定率
・FT%=フリースロー決定率
・eFG%=実質シュート決定率 (参照記事)
・TS%=フリースローを含むすべてのシュートの得点効率(参照記事)
・HOMEeFG%=ホームゲームにおける実質シュート決定率
・HOME2FG%=ホームゲームにおける2ポイントシュート決定率
・HOME3FG%=ホームゲームにおける3ポイントシュート決定率
・AWAYeFG%=アウェイゲームにおける実質シュート決定率
・AWAY2FG%=アウェイゲームにおける2ポイントシュート決定率
・AWAY3FG%=アウェイゲームにおける3ポイントシュート決定率(以上6項目の参照記事)
・2PA%=2ポイントシュートを打った割合
・3PA%=3ポイントシュートを打った割合
・FTD%=フリースローを得た攻撃の割合(以上3項目の参照記事)
・FBP%=速攻による得点割合(参照記事)
・PitP%=ペイントエリア内得点割合(参照記事)
・SCP%=セカンドチャンス得点割合 (参照記事)
・OR%=オフェンスリバウンド獲得率 (参照記事)
・DR%=ディフェンスリバウンド獲得率(参照記事)
・TOV%=ターンオーバーになった攻撃の割合 (参照記事)
・AST%=アシストから得点になった割合 (参照記事)
・AST/TOV=アシストとターンオーバーの比率 (参照記事)・Possession=攻撃回数
・ORtg=100回攻撃した場合平均で何点取れるのかを計測したもの(参照記事)
・DRtg=100回攻撃された場合平均で何失点するのかを計測したもの(参照記事)
それでは両チームのここまでの試合のスタッツを比較しよう。数字が上回っているスタッツには☆をつけている。
項目 | 千葉J | A東京 |
2FG% | ☆55.99% | 50.44% |
3FG% | ☆34.99% | 32.38% |
FT% | 73.46% | 75.47%☆ |
eFG% | ☆54.55% | 49.77% |
TS% | ☆57.7% | 53.90% |
HOMEeFG% | ☆56% | 51.47% |
HOME2FG% | ☆56.2% | 52.32% |
HOME3FG% | ☆36.65% | 33.48% |
AWAYeFG | ☆53.11% | 48.06% |
AWAY2FG% | ☆55.78% | 48.56% |
AWAY3FG% | ☆33.42% | 31.66% |
2ptA% | 47.02% | 59.28%☆ |
3ptA% | ☆42.18% | 29.35% |
FTD% | 10.80% | 11.37%☆ |
FBP% | ☆14.25% | 9.20% |
PitP% | 39.77% | 44.75%☆ |
SCP% | 16.92% | 18.36%☆ |
ORB% | 33.93% | 36.27%☆ |
DRB% | 69.70% | 72.32%☆ |
TOV% | 14.04% | 15.84%☆ |
AST% | 51.63% | 52.42%☆ |
AST/ TOV | ☆2.23 | 2 |
POSSESSION | ☆72.34 | 68.07 |
ORtg | ☆121.62 | 113.51 |
DRtg | ☆103.5 | 104.49 |
100回攻撃した場合、平均で何点取れるのかを計測した『ORtg』では、千葉Jがリーグ1位で、A東京はリーグ6位に。100回攻撃された場合平均で何失点するのかを計測した『DRtg』においては、リーグ3位のA東京に対し、千葉Jはリーグ5位。ディフェンスは互角であるものの、オフェンスでは千葉に軍配が上がっている。
3ポイントシュートを打った割合『3ptA%』、2ポイントシュートを打った割合『2ptA%』、さらにはフリースローを得た攻撃の割合『FTD%』、そして攻撃回数である『Posession』に至るまで、全く逆のオフェンス戦略で戦う両雄だが、そんな両チームを細かく分析していく。
千葉J
クォーターファイナルの分析記事でも紹介したが、リーグ2位の3ポイントシュートチームで、リーグで最も2ポイントシュートを打たない。それに伴ってペイントエリア内得点割合『PitP%』もリーグで最も低い。積極的にオフェンスリバウンドを獲得するチームであり、セカンドチャンス得点割合『SCP%』が高い。ゴール周りで獲得するオフェンスリバウンドとSCPが多いにも関わらず『PitP%』が低いことから、セカンドチャンスからはフリースローで効率良く得点していることが読み取れる。
ホームゲームに強みを持ち、ホームでのフィールドゴールの得点効率を示す『HOMEeFg%』は3%近く上昇し、主に『3FG%』が大きく上昇している。その他特徴的なスタッツはリーグで最も低いアシスト割合だろう。3ポイントシュートはキックアウトなどのアシストから生まれることが多いにもかかわらず、このスタッツが低いということはドライブからのプルアップ3ポイントシュートが多いと予想され、個人で打開できる選手が揃っているということ。
A東京
こちらもクォーターファイナルの分析記事のおさらいになってしまうが、リーグ2位の『2ptA%』と合わせて『3ptA%』がリーグ最下位と、2ポイントシュートを中心に戦略を組み立てるチームだ。『ORtg』が113.5と高いが実は『2FG%』、『3FG%』ともにリーグでも下位に沈んでいる。そんな東京のオフェンスを支えているものはオフェンスリバウンドである。オフェンスリバウンド獲得率『OR%』はリーグ有数の高さであり、そこからのセカンドチャンス得点割合『SCP%』も高い。A東京も千葉Jと同様に『SCP%』が高いにもかかわらず『PitP%』が低い。つまりはゴール下で獲得したオフェンスリバウンドからフリースローを多く獲得していることを意味している。
千葉Jと比べると『Possession』は3.5回も少なく、スローペースなハーフコートバスケットを得意としていることが分かる。アウェーゲームにおける2ポイントシュート決定率『AWAY2FG%』が極端に下がっている点には注意が必要だろう。
今度は直接対決のアドバンスドスタッツがシーズン平均とどこまで違いがあるのかを見ていく。
項目 | A東京シーズン平均 | 千葉J戦平均 | |
2FG% | 50.44% | 53.54% | 3.10% |
3FG% | 32.38% | 26.93% | -5.46% |
FT% | 75.47% | 73.48% | -2.00% |
eFG% | 49.77% | 49.81% | 0.04% |
TS% | 53.90% | 53.40% | -0.50% |
HOMEeFG% | 51.47% | 49.23% | -2.24% |
HOME2FG% | 52.32% | 55.08% | 2.76% |
HOME3FG% | 33.48% | 23.85% | -9.63% |
AWAYeFG | 48.06% | 50.38% | 2.32% |
AWAY2FG% | 48.56% | 52.00% | 3.44% |
AWAY3FG% | 31.66% | 30.00% | -1.66% |
2ptA% | 59.28% | 59.12% | -0.15% |
3ptA% | 29.35% | 29.19% | -0.16% |
FTD% | 11.37% | 11.68% | 0.31% |
FBP% | 9.20% | 5.43% | -3.77% |
PitP% | 44.75% | 48.91% | 4.16% |
SCP% | 18.36% | 21.56% | 3.20% |
ORB% | 36.27% | 36.95% | 0.68% |
DRB% | 72.32% | 70.19% | -2.13% |
TOV% | 15.84% | 19.19% | 3.35% |
AST% | 52.42% | 51.51% | -0.90% |
AST/ TOV | 2 | 1.51 | -0.49 |
POSSESSION | 68.07 | 68.11 | 0.04 |
OFFRtg | 113.51 | 108.79 | -4.71 |
DFFRtg | 104.49 | 121.66 | 17.17 |
項目 | 千葉Jシーズン平均 | A東京戦平均 | 差分 |
2FG% | 55.99% | 53.82% | -2.17% |
3FG% | 34.99% | 38.75% | 3.76% |
FT% | 73.46% | 69.35% | -4.11% |
eFG% | 54.55% | 55.55% | 0.99% |
TS% | 57.70% | 57.60% | -0.10% |
HOMEeFG% | 56.00% | 63.82% | 7.82% |
HOME2FG% | 56.20% | 61.31% | 5.11% |
HOME3FG% | 36.65% | 44.80% | 8.15% |
AWAYeFG | 53.11% | 47.27% | -5.83% |
AWAY2FG% | 55.78% | 46.34% | -9.44% |
AWAY3FG% | 33.42% | 32.70% | -0.72% |
2ptA% | 47.02% | 49.89% | 2.87% |
3ptA% | 42.18% | 41.55% | -0.63% |
FTD% | 10.80% | 8.56% | -2.24% |
FBP% | 14.25% | 14.28% | 0.03% |
PitP% | 39.77% | 37.88% | -1.89% |
SCP% | 16.92% | 15.66% | -1.26% |
ORB% | 33.93% | 29.81% | -4.12% |
DRB% | 69.70% | 63.05% | -6.65% |
TOV% | 14.04% | 10.69% | -3.35% |
AST% | 51.63% | 47.99% | -3.64% |
AST/ TOV | 2.23 | 2.56 | 0.33 |
POSSESSION | 72.34 | 68.11 | -4.22 |
ORtg | 121.62 | 121.66 | 0.04 |
DRtg | 103.5 | 108.79 | 5.29 |
ホームとアウェーで計4戦行い、戦績は千葉Jが3勝、A東京が1勝だった。比較すると、A東京はオフェンス戦略をほとんど変えることなく自分たちのバスケットを遂行できていたと見ることができるが、3ポイントシュートを抑えられていることがORtgの減少に繋がっている。問題はディフェンスで、DRtgがシーズン平均より17ポイントも下がっている。
一方の千葉Jは『3ptA%』が若干(本数にして2本ほど)減少しているがホーム平均44%の決定率が強烈なインパクトを残している。アシストの割合『AST%』が減少しているため、プルアップスリーの本数が増えていることが予想される。A東京に対してディフェンスリバウンド獲得率『DR%』がシーズン平均よりも大きく減少しているところは注意が必要だ。
A東京が勝利するには、3ポイントシュートを防ぎ2ポイントを打たせ、セカンドチャンスを含むシーズン平均を超えるシュート本数を放つことが求められる。さらにその2ポイントシュートはハイ&ローやピック&ロール、カッティングなどアシストを伴うシュートを多く放つ必要があるだろう。
これらのスタッツから注目すべきポイントは、
・千葉Jが3ポイントシュートを平均と同水準の本数を放つことができるか
・A東京が『OR%』40%(攻撃回数が変わらないと仮定して約15~16本)を超えることができるか
・A東京はアシストを稼いでいたジャスティン・コブス、ライアン・ロシターらの欠場が予想される中でも『AST%』60%を達成できるか
注目選手
ザック・バランスキー(A東京)
途中出場ながら、A東京のディフェンスを成り立たせている存在と言っても過言ではない選手。千葉J戦では、リーグトップクラスの得点効率を誇るヴィック・ローやクリストファー・スミスとのマッチアップが予想されるため、このシリーズでは特に注目すべき選手と言える。