ニコラ・ヨキッチ

「僕らはただ自分たちを信じ、僕らのバスケをやるだけだ」

ディアンドレ・エイトンの不在はサンズにとって決定的な痛手だった。24歳のセンターはファンの支持を得られず過小評価されているが、ニコラ・ヨキッチを簡単にゴール下まで入れさせないパワーとリムプロテクト能力がどれだけ効いていたかは、ナゲッツとの第6戦のティップオフからほどなくして明らかになった。

厄介な相手の欠場で自由にプレーできたヨキッチは、第1クォーターだけで14得点5アシストを記録。しかもエイトンに代わって先発したジョック・ランデール、控えセンターのビスマック・ビヨンボがいずれもファウルを2つ取られ、もう強く当たれない状況に追い込まれた。

ヨキッチはポストアップから押し込み、そのままレイアップに持っていったりフックシュートを放ったり、得意のソンボル・ステップも披露して得点を量産し、ワイドオープンのチャンスも数多く作った。まだ序盤でサンズは何とか立て直そうとしたが、ヨキッチ相手に手の打ちようがない。ナゲッツは第1クォーター後半に21-2のランでサンズを突き放し、この時点で勝利とシリーズ突破をほぼ確実なものとした。

チームの軸となるヨキッチはその後も持ち味を存分に披露し、32得点10リバウンド12アシスト、プレーオフの11試合で5度目のトリプル・ダブルを記録した。プレーオフではここまで11試合を戦って平均30.7得点、12.8リバウンド、9.7アシスト。シーズンMVPとなった過去2シーズンを超えるパフォーマンスを発揮している。

ヨキッチは言う。「全員が同じマインドセットで、自分の家みたいに快適にプレーできた。常にアグレッシブで、本当に良いプレーができたと思う。KCP(ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ)は攻守に素晴らしいスタートを切り、ブルース(ブラウン)も良いプレーをしたよね。全員が攻守に貢献して、僕らにとって素晴らしい試合になった。ホームでの第5戦で最高のプレーをして、今日も良かったのは、チームにとってはすごく良い兆候だ」

彼が言うように、コールドウェル・ポープとブラウンは、サンズが誇る2人のエース、デビン・ブッカーとケビン・デュラントに自由を与えなかった。スイッチされてもアーロン・ゴードンは激しく、ヨキッチは粘り強く対処した。ジャマール・マレーとマイケル・ポーターJr.のオフェンスでの爆発力も含め、すべてはヨキッチを中心に効果的に動いている。

ナゲッツにとっては『バブル』の2019-20シーズン以来のカンファレンスファイナル進出。「レイカーズとウォリアーズ、どちらが来るにしても素晴らしいチャレンジになる。ここまで来るチームはどこも強敵で油断できないけど、僕らはただ自分たちを信じ、僕らのバスケをやるだけだ。前回のカンファレンスファイナルとは違う結果になることを願っているし、今の僕たちにとってはすごく良い機会だと思う。どんな結末になるか楽しみだよ」

ヨキッチは笑顔でこう続ける。「僕はこのチームにいて勝ち続けていることがうれしいんだ。この5年間、僕たちはシーズンごとに着実に進歩しているし、常に何か新しいことを達成している。だから今回も素晴らしい何かを成し遂げられると思っているんだ」