ネッツでの今シーズンは腰の手術の影響で不安定、それでも今は「順調に回復」
ワールドカップ開幕まで4カ月を切った。FIBAランキング3位のオーストラリアはドイツ、フィンランド、日本と同じグループに入った。
オーストラリア代表ヘッドコーチを務めるブライアン・グーリジャンは抽選結果に対して「どこで誰を相手に戦うかが決まったことで、ワールドカップが一気に現実味を帯びた。我々にとっては楽しみな挑戦だ」と語った。その指揮官は先日『SEN Radio』に出演し、ベン・シモンズについて興味深い発言をしている。
「ベンのマインドセットは、健康を取り戻してコンディションを整え、このワールドカップでプレーすることだと思う。彼はしばらく前からそのような状態にある。現時点で彼がワールドカップでプレーする可能性は非常に高い。我々のドアはいつも彼に対して開かれている」
そのシモンズは、NBAではキャリアが行き詰まってしまっている。2021-22シーズンを全休した彼は、新天地ネッツで今シーズンを迎えるも42試合に出場したのみ。セブンティシクサーズを離れたことでメンタルの問題からは脱したが、椎間板ヘルニアの手術をした影響でコンディションが上がらなかった。シーズン序盤はコンスタントにプレーできたが、腰に加えて膝にも問題を抱えて2月中旬から欠場が続いた。シーズン途中にケビン・デュラントとカイリー・アービングを放出し、戦力が大幅にダウンしたネッツはシモンズを必要としていたが、結局プレーオフのファーストラウンドで敗退するまで復帰は果たせなかった。
『New York Post』は今のシモンズの状態について「順調に回復している」と報じている。椎間板ヘルニアの手術はナゲッツのマイケル・ポーターJr.も経験したもので、ポーターJr.はほぼ1年をリハビリに費やした。昨年5月に手術をしたシモンズにとって、今シーズンのプレーは早すぎたのかもしれない。
いずれにせよ、現時点でコンディションが良好なのであれば、ワールドカップへの参加を彼が選択してもおかしくはない。今シーズンは好不調の波が激しかったものの、13試合で2桁得点を記録。ダブル・ダブルは4回、トリプル・ダブルも1回と、コンディションの良い時にはオールラウンドな能力を発揮していた。シモンズと2年7800万ドル(約100億円)の契約が残るネッツにとっても、ワールドカップでシモンズがどれだけプレーできるかを示すのは歓迎すべき話だ。
シモンズは2013年のオセアニア選手権で、16歳にしてオーストラリア代表デビューを果たしている。その後はNBA挑戦の準備に入り、代表でプレーすることはなくなったが、今回は適切なタイミングなのかもしれない。
NBAでの彼の評価は著しく低く、何をやっても懐疑的な目を向けられ、一つのミスも大きく取り上げられる。グーリジャンもそれを理解しているからこそ、シモンズを代表に呼び戻そうとしているのだろう。彼は言う。「東京オリンピックに出場する可能性もあったが、不運な事情があった。ベンはブーマーズ(オーストラリア代表)に所属し、国を代表してプレーする意味、一緒に育ってきた仲間とまたプレーできる楽しみを分かっているはずだ」
オーストラリア代表は優勝候補の一角ではあるが、『死のグループ』では何が起きるか分からない。ベン・シモンズが完全復活を果たせば、チームにとって大きな戦力となるはずだ。