
「我々は様々な世代の選手が団結するチーム」
ヤニス・アデトクンボのギリシャとヨナス・バランチュナスのリトアニアの対戦は、NBAでの知名度どおりに、アデトクンボを擁するギリシャの快勝となった。それでもアデトクンボの29得点6リバウンド2アシスト4スティール1ブロックに対し、バランチュナスは24得点15リバウンド1アシストとスタッツでは負けていない。違いとなったのはチームバスケットの質だった。
リトアニアは211cmのバランチュナスと209cmのマレク・ブラゼビッチのツインタワーでペイントエリアのスペースを消し、アデトクンボのドライブを封じてジャンプシュートを打たせる形に持ち込んだ。ドライブからのイージーな得点、あるいはフリースローを与えることを一番に警戒したディフェンスは一定の効果を出したが、攻撃面で致命的な課題を抱えていた。
若き天才司令塔、ロカス・ヨクバイティスがグループリーグのフィンランド戦で左膝の靭帯を痛めて戦線離脱に。ピック&ロールのハンドラーだったヨクバイティスを欠いたリトアニアのハーフコートオフェンスは機能不全に陥った。
ベスト16で対戦したラトビアに比べると今回のギリシャはディフェンスの強度が桁違いに高く、ボールムーブが滞るとフィジカルな当たりでボールを奪われ、トランジションに持ち込まれた。ファストブレイクによる得点は20-4でギリシャが圧倒。相手に走られる展開ではバランチュナスは無効化され、そこで差を広げられた。
チームとしての成熟度の差でリトアニアは敗れた。ヘッドコーチのリマス・クルティナイティスはそれを受け入れた上でこう語る。「我々には6人の新しい選手がいて、その中にはこのレベルの試合を初めて経験する者もいる。ギリシャは経験ある選手のグループで、我々もそうであれば試合展開は違ったものになったかもしれない。しかし、我々は様々な世代の選手が団結するチームであり、これから経験して学ぶフェーズにある」

若いブラゼビッチへの称賛「立ち上がって戦い続けた」
バランチュナスもそのことを強調した。この試合で彼がフロントコートでコンビを組んだブラゼビッチは24歳の若手だが、それでもアデトクンボに対して果敢に挑み、アデトクンボにペイントアタックを躊躇させるシーンも何度もあった。「ヤニスは世界最高の選手の一人で、僕らは彼を止めるためにできることはすべてやった。マレクとヤニスは経験では比較にならない。でも、コーチからヤニスをマークしろと言われた以上、マレクは恐れずに挑戦した。何度も打ちのめされたが、そのたびに立ち上がって戦い続けた。すごい選手だよ」
クルティナイティスは1年前に代表ヘッドコーチに就任したばかり。33歳のバランチュナスのようなベテランを中心にしつつも、代表チームの世代交代も進めている。世代交代を後回しにすれば、チームの成熟度の差で負けることはなかったかもしれない。
しかしバランチュナスは、世代交代の必要性も理解しており、「クルティナイティスが率いる代表チームにどんな印象を持っている?」という、このタイミングではコーチ批判としか受け止められないメディアの質問に反発した。
「僕に何を言わせたいんだ? チームが機能しなかった、コーチが悪かったと言いたいなら、僕に言わせるのではなく自分で言えばいい」とバランチュナスは答えた。「僕たちは一つのチームだ。コーチングスタッフは戦術を考え、僕ら選手は彼らのゲームプランを信じて遂行する。選手とコーチングスタッフは勝てば全員で勝利の喜びを分かち合うし、負けた時も同じだ」
ヨクバイティスはバイエルンでの新シーズンの少なくとも半分を棒に振る残念な結果となったが、彼やブラゼビッチといった若手はこの大会で貴重な経験を積んだ。敗退が決まった会見での指揮官クルティナイティスやリーダーのバランチュナスの言葉は、若い選手たちに代表チームへの新たな愛着と誇りを植え付け、それがチームの次の成長に繋がるはずだ。