ステフィン・カリー

3ポイントシュートの確率を上げ、スペーシングを徹底する狙いが当たる

レイカーズはウォリアーズとの第1戦を117-112で制しましたが、その試合も52本の3ポイントシュートを打たれ、確率も40%と相手が得意とするアウトサイドへの対処には課題がありました。そして第2戦では42本を52%で決められ、27点差の大敗を喫しています。

第1戦ではウォリアーズのインサイドアタックをアンソニー・デイビスのブロックで封じ込め、フリースローアテンプトを6に抑えたのですが、第2戦のウォリアーズは先発センターをケボン・ルーニーからジャマイカル・グリーンへと変え、さらにゲイリー・ペイトン2世をローテーションから外しています。外したのはともにアウトサイドのシュートのない選手で、3ポイントシュートの確率を上げるとともに、スペーシングの徹底でインサイドのヘルプを減らすのが狙いでした。

この狙いは当たり、結果的に3ポイントシュートのアテンプトは減らしながらペイント内得点は28点から48点へと大きく増え、フリースローアテンプトも10本増えました。単に『3ポイントシュートが決まった』だけでなく、第3戦以降も継続しそうな勝ち方です。

レイカーズはファーストラウンドを4勝1敗で勝ち抜いたものの、ワイドオープンの3ポイントシュートを22.8本も打たれており、31%しか決められなかったグリズリーズのシュートミスに助けられた感は否めません。アウトサイドを捨てている代わりにインサイドを厚く守ってイージーシュートを許さないディフェンス戦術が売りですが、シューティングチームであるウォリアーズ相手に、シュートミスを期待する守り方は得策ではありません。

第2戦ではクレイ・トンプソンが11本中8本という高確率で3ポイントシュートを決めましたが、その多くはタフショットではなく、トランジションでフリーになっているかスクリーンを使ってディフェンスを引きはがしてのシュートでした。

レイカーズはオフェンスリバウンドを重視せず、トランジションディフェンスに備えるのが基本ラインですが、ビハインドの状況になると3人がリバウンドに飛び込み、カウンターを食らうシーンが増えており、チームとしての約束事をもう一度徹底する必要があります。

また、スクリーンでシューターをフリーにする戦術を多用するウォリアーズに対しては、スイッチ対応がセオリーですが、レブロン・ジェームズとデイビスがペイント内優先で守るスタンスのため、スイッチもショウディフェンスも中途半端でした。

ウォリアーズがスモールラインナップでスペーシングを重視するのに合わせて、レイカーズ側もスピードのある選手を並べてスイッチからチェイスしていくのは一つの修正方法ですが、これまでやってこなかっただけに急に導入するのは難しいでしょう。

前半のラストプレーでは、ステフィン・カリーがボールを持っているとダブルチームを仕掛けましたが、フリーになったドレイモンド・グリーンにパスが出ると誰も反応せず、ドライブダンクを食らうシーンがありました。突然のダブルチームはチームで共有されていない仕掛けであり、チーム全体でのカバーリングに難があることを露呈しました。試合中の急な戦略変更が上手くいくケースは少なく、第3戦までにしっかりと3ポイントシュート対策を練る必要があります。

ロサンゼルスに舞台を移しての第3戦、第4戦となり、ホームコートアドバンテージは期待できます。しかし非常に難しいのは、レフリーのコールに一貫性がないことです。第2戦の前半はファウルコールが少なく、コンタクトプレーが許容される傾向にあり、両チーム合わせてフリースローはわずか9本でしたが、ところがハーフタイムを挟むと急にコンタクトに厳しくなり、第3クォーターだけで13本ものフリースローが与えられました。この一貫性のなさは大きな問題なのですが、両チームとしては試合中にアジャストしていくしかありません。

選手として5つ、ヘッドコーチとして4つのチャンピオンリングを持つスティーブ・カーは自分たちの形を持ちながらも、試合によって起用する選手を変更し、戦い方を柔軟に変化させてきます。このアジャスト力こそがウォリアーズがプレーオフで強い理由です。第2戦の勝敗はこの力で決まったと言っていいだけに、次に明確なアジャストが求められるレイカーズがどんな『回答』を出すのかが注目されます。