チームの雰囲気を変える連続得点などでチームトップの17得点をマーク
4月23日、中地区首位の川崎ブレイブサンダースは同地区6位の三遠ネオフェニックスとの第2戦を75-91で落とした。
勝利した第1戦は、第2クォーターを除き25得点以上を記録するオフェンス力を見せた川崎だったが、この日は第1戦で32得点を挙げた大黒柱のニック・ファジーカスにプレータイムはなく、第1クォーター以外のクォーターで三遠の得点を下回った。また、シーズン平均77.6失点を大きく上回る91失点と、ディフェンス面でも課題が残る一戦に。佐藤賢次ヘッドコーチも「ウチの激しいディフェンスをフルコートで見せることが一番のポイントでしたが、相手に対応されてしまい、終始後手に回るようなディフェンスをしてしまいました」と、頭を抱えた。
チャンピオンシップ出場を決めている川崎にとって、レギュラーシーズン中に課題を見つけられたことはポジティブな要素ととらえることができる。そして、何よりも納見悠仁の台頭がこの試合の一番の収穫となった。
この日の納見は、第1クォーター残り1分に出場すると、強気なドライブから相手のファウルを誘発しフリースローを獲得。2本ともきっちり沈めて初得点を記録し、続けて出場した第2クォーターではジョーダン・ヒースとのピック&ロールから得意のミドルシュートを沈めて川崎のリードを広げた。しかし、残り6分15秒に納見がベンチに退いた川崎は三遠に連続得点を許し、逆転されてしまう。
川崎が11点ビハインドで迎えた第3クォーター残り2分13秒に納見が再びコートに立つと、相手のドライブにヘルプで飛び出しスティールすると、第2クォーターと同様にヒースとのピック&ロールからミドルシュートを沈め、約2分ぶりの得点をチームにもたらした。残り1分にも、セカンドチャンスからディフェンスをフェイクでかわし、ミドルシュートを沈めて連続得点を記録。オフェンスで川崎に流れを引き寄せた納見は、第4クォーターには篠山竜青のパスから1on1を仕掛けてバスケット・カウントに成功するなど、ツーガード起用の強みを存分に発揮し、わずか6分間のプレータイムで7得点1アシストの活躍を見せた。
納見はキャリアハイ(20点)に迫るチームトップの17得点をマークしたが、試合後は、開口一番に「まず負けてしまったことが良くない。いろんなところで自分たちの悪い部分が多く出てしまった」とチームのことを語り、自身のパフォーマンスについては次のように振り返った。「積極的にシュートを狙いに行けたことは良かったと思います。(相手が)ピックに対して前に出てくるのではなく下がって守っていたので、積極的にアタックできました」
自身初となるCSに向けて「出場した時にチームを引っ張れるような存在に」
納見はシーズン序盤に「竜青さんや(藤井)祐眞さんに負けないぐらいアグレッシブなプレーでチームに貢献したい」と、代表経験もある先輩ポイントガードの背中を追いかけ追い越す意志を見せていた。シーズン前半こそ、川崎のシステムと自身の持ち味であるスコアリング能力を融合させることに時間がかかったが、4月に突入してから1日、2日の大阪エヴェッサ戦で両日19得点を挙げると、続く5日の信州ブレイブウォリアーズ戦でも2桁得点と、チームの決まり事の中で自分の得点力を発揮できるようになった。
納見は言う。「まず1シーズンをかけて川崎のバスケに馴染むことはもちろん、竜青さんや祐眞さんにはない自分の良さを出せるようにここまで取り組んできました。それがシーズン後半戦に入って出せるようになっていると実感しています。祐眞さんのアグレッシブな姿勢だったり、竜青さんのコントロールは自分が影響された姿です。その中で、ディフェンスの激しさや駆け引きをもっと徹底したいと思います。そうやって、3番手やツーガードとして出場した時にチームを引っ張れるような存在になれれば、自分も1ランク上に行けると思っています」
佐藤ヘッドコーチは、納見の活躍がチームに良い影響を与えていると言う。「前半戦はセカンドユニットを起用する時間に点が止まることが多かった中、今では納見選手がセカンドユニットを引っ張るような存在になってくれています。オフェンスもディフェンスもチームのスイッチを入れてくれるような存在で、竜青とのツーガードなど幅も広がっているので、チームに大きな影響をもたらしてくれています」
この日の納見は、偉大な先輩からシーズンをかけて学んだことを体現し、アグレッシブに得点を狙う『自分らしさ』を見せた。「シュートだけを考えてしまったり、パスだけを考えてしまったりすると良いプレーはできません。自分も攻めながらクリエイトすることができ始めているので、もう一磨きできれば自分のレベルが上がると思います」。納見が1ランク上の世界にたどり着いた時、川崎の悲願のチャンピオンシップ優勝は現実味が増す。
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