ドノバン・ミッチェル

「僕たちが本当に求められているのは、ここからさらに前進すること」

キャバリアーズはロケッツ戦でシーズン48勝目を挙げ、6試合を残して東カンファレンスの6位以内、つまりプレーオフ進出を決めた。

キャブズにとってプレーオフは、レブロン・ジェームズとともにあるものだった。2003年のNBAドラフト全体1位で指名したレブロンの3年目から5シーズン連続でプレーオフに進出し、レブロンがヒートに移籍すると勝てなくなり、レブロンが復帰した2014年からは4シーズン連続でプレーオフに進出。ヒートで成長したレブロンが全盛期を迎えていたこの時は、4年連続でNBAファイナルに進出し、2015-16シーズンには球団初のNBA優勝を果たしている。

そしてレブロンがレイカーズへと去った2018年から3シーズンは勝てないチームに逆戻りとなったが、ようやくプレーオフの舞台に戻って来ることになる。レブロン抜きのキャブズがプレーオフに進出するのは1998年以来のことだ。

ヘッドコーチのJ.B.ビッカースタッフは「若いチームがこれだけ早く成長し、プレーオフ進出を実現したのはすごいことだ」と言う。「普通、若い選手は自分のことに必死で、チームは二の次になる。だがここの選手たちは自分が目立ったり良い報酬を得たりすることは、すべてチームの成功がもたらしてくれると信じている」

昨シーズンは若い力が噛み合ってチームは躍進したが、後半戦に失速してプレーオフ進出を逃した。1年前との違いはその悔しい経験をしたことと、ドノバン・ミッチェルというエースを手に入れたことだ。

ここまで64試合とコンスタントにプレーして平均27.4得点を挙げているミッチェルは、プレーオフ進出について「軽視したくはないけど、予定通りだね」と言う。「チームメートも『これが当たり前のことだ』と話している。プレーオフ進出が目標だったのは確かだから祝福しよう。でも、僕たちが本当に求められているのは、ここからさらに前進することだ」

ミッチェルはプレーオフ進出を「予定通り」と言うが、それはいつ考えた予定なのだろうか。彼は「僕にとっては、自分のトレードが決まった時だ」と言う。「僕のトレードが決まり、キャブズに誰が残るかを知った時点で、プレーオフに進むのは当然のことだと思った。シーズン序盤にクリッパーズ、キングス、ウォリアーズ、ウルブズに連敗したけど、その後に同じチームに勝てたことで『自分たちにはその力がある』とみんな確信できたんだと思う」

ミッチェルはNBAデビューイヤーから5シーズンすべてでプレーオフを経験してきた。プレーオフはより戦術的になり、ディフェンスが優先され、得点が減るものだが、ミッチェルの場合これまで4シーズンは、プレーオフの平均得点がレギュラーシーズンを上回っている。プレーオフに出て、そして活躍することは、彼にとっては当たり前のこと。その彼は、プレーオフに向けたチームの心の準備をこう語る。

「僕らはより大きな目標を持っている。プレーオフに参加することだけじゃなく、最後まで勝ち進みたいんだ。経験豊富なライバルは多いし、難しいのは間違いない。でも、僕たちにはその挑戦に立ち向かうハングリー精神がある。プレーオフを経験していない若手がそういうマインドセットを持っているのは正直すごいと思う。毎日準備して戦って、6月まで全力で戦い続ける意思がこのチームにはあるんだ」

キャリア6年目、26歳となったミッチェルは、エースとしてオフェンスを引っ張るだけでなく、チームリーダーの役割も果たそうとしている。

「どうすれば勝利に貢献できるのか、そのためにどうプレーすべきかを、僕はキャリアの早い段階で学ばせてもらった。ジャズでは僕も一生懸命に学んだけど、みんなが良い影響を与え、信頼してくれたことが本当に大きかった。だから今、僕が若い頃から学んだことをこのチームの仲間たちに示したい」