ジェフ・グリーン

「ダンクそのものよりも、みんなの驚く顔が笑えたよ」

ナゲッツvsバックスの第4クォーターが始まってすぐ、そのプレーは生まれた。ジャマール・マレーがドライブで仕掛けるも攻めきれずにボールを戻す。そのパスを受け取ったジェフ・グリーンは、左から右へと持ち変えてドリュー・ホリデーをかわしてリムに突っ込み、立ちはだかるヤニス・アデトクンボの上からダンクを叩き込んだ。

バランスを崩して倒れたグリーンが起き上がる前に反撃しようとバックスがすぐにプレーを再開したためコート上は慌ただしかったが、目の前で起きたポスタライズダンクにナゲッツのベンチとファンは大興奮。これでスコアは99-85、第3クォーター途中に逆転して優位に立っていたナゲッツはさらに勢いに乗った。

東西カンファレンスでトップを走るチーム同士の対決は、前半からプレーオフの雰囲気を感じさせる白熱の展開となった。前半はバックスがリードする時間が長かったが、第3クォーターに流れが変わる。ナゲッツのチームディフェンスが素晴らしい連携を見せ、バックスの攻めをフィールドゴール25本中7本成功(28%)、3ポイントシュートは7本打って1本しか決めさせず、34-19のビッククォーターを作り出した。

第3クォーター終了時点で12点差、ここから巻き返そうとするバックスの出鼻をくじいたのが、ジェフ・グリーンのポスタライズであり、実際にナゲッツ優位の流れは加速した。かくして残り6分過ぎ、20点差でバックスはアデトクンボを含む主力をベンチに下げて白旗を上げている。

試合後、「人生でもトップ3に入るダンクでは?」と問われたグリーンは「どうだろうね。良いダンクだったから結構上位に来るのは間違いない。でも、ヤニスが相手だということを考慮したらトップ3に入るけど、そうじゃなければ違うかもしれない。他のダンクを見返さないとね」と、照れ笑いを浮かべながら語る。

「ヤニス相手に決めたダンクだから話題になるんだろうけど、僕にとってはこのタイミングでこの相手と対戦するという試合の重要さに意味があった。面白かったのは、映像をチェックした時のみんなの表情だ。僕みたいなベテランが派手なダンクを決めたから驚いたんだろう。ダンクそのものよりも、みんなの驚く顔が笑えたよ」

ド派手なポスタライズ以外にも、この試合では36歳の大ベテランであるグリーンが良い働きを見せた。第3クォーターの逆転劇は規律正しいチームディフェンスに加え、オフェンスではニコラ・ヨキッチを軸にバックス守備陣を翻弄し、相手の焦りを誘ったことで生まれたもの。その流れをグリーンを含むセカンドユニットが引き継ぎ、バックスに付け入る隙を与えなかった。

グリーンは言う。「良い守備をしてトランジションに持ち込み、試合の流れを読んでシンプルにプレーできた。無理なプレーを選択せずに、みんなで協力した。そのおかげでセカンドユニットが機能したんだ。全体的に、僕らは素晴らしい仕事をしたと思うよ」

西カンファレンス首位でレギュラーシーズンを終えることをほぼ確実なものにしてからナゲッツには油断が生まれ、思わぬ敗戦を喫することが続いた。それでもこの試合では、本当に勝たなければいけない試合で集中すれば、攻守にどれだけのパフォーマンスを見せられるのかを証明したようだ。