栃木ブレックス

文・写真=鈴木栄一

要所要所で決めるべきシュートを決めた栃木

12月9日、栃木ブレックスがホームで琉球ゴールデンキングスと対戦。ともに気持ちの入った激しい戦いが繰り広げられる中、リバウンド数で51-36、フリースロー本数で34−18が示すように、よりアグレッシブな攻めでゴール下の肉弾戦を制した栃木が77-67で勝利した。

第1クォーター、再延長にもつれこんだ熱戦を制した前日の勢いをキープした琉球はジョシュ・スコット、ジェフ・エアーズの2人で計16得点とゴール下で確実に加点し、23-15とリードを奪う。しかし、第2クォーターに入ると、琉球がノーマークのチャンスを作るも外角シュートを決め切れない中、逆に栃木は終了間際に遠藤祐亮が3ポイントシュートを沈めるなど要所でしっかり得点。37-37と追い付いて前半を終える。

第3クォーターに入っても栃木は引き続き激しいプレッシャーをかける守備で、琉球にタフショットを打たせ、このクォーターでわずか12失点に抑える。そして、5つのオフェンスリバウンドに代表される厚みのあるオフェンスを展開。鵤誠司がシュート3本中3本成功の9得点を挙げる活躍を見せると、残り約3分半からの8連続得点でリードを12点に広げる。

第4クォーター、なんとか追い上げを図りたい琉球だが、佐々宜央ヘッドコーチが「今日、僕らが決めきれなかった時間帯に、向こうが決めてきたことで流れを持ってこられなかったです。決めきる、守りきらないといけない時にそれができませんでした」と振り返ったように、栃木は要所をしっかり抑えて試合の流れを渡さず。このクォーター、常に2桁のリードを保って栃木が逃げ切った。

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竹内公輔の奮闘「全部攻めてやる気持ちで」

栃木の安齋竜三ヘッドコーチは、「昨日、ライアン(ロシター)が52点を取りましたが、チーム的な動きは良くなかったです。一人ひとりでやってしまう部分がかなりあって、自分たちの流れで良いオフェンスになっていませんでした。今日はディフェンスでリバウンドをしっかり取る、それが第2クォーターから最後までできたことが良い流れに繋がりました」と勝因を語る。また、「選手たちは昨日があって身体がツラい中でよくプッシュしてくれました」と、フルコートでのプレッシャーなど強度の高い守備を貫いた選手たちの頑張りを称えている。

そしてこの試合、栃木がゴール下の戦いを制することができたのはロシター、ジェフ・ギブスに加え、竹内公輔の活躍が大きかった。

「昨日は0点だったので良い気分ではなかったです。スコット、エアーズから点は取るのが難しいですが、今日はミスマッチになったら全部攻めてやるくらいの気持ちでした」と語る竹内は、アイラ・ブラウンの欠場によって外国籍選手のどちらが下がった時に生まれた高さのアドバンテージを生かして積極的にアタック。その結果として、今シーズン最多となる12本のフリースローを獲得して10得点、さらに9リバウンド2ブロックと攻守で大きな存在感を発揮した。

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ともに切磋琢磨する指揮官「意識します」

ともに白熱した見応えのある戦いで1勝1敗の痛み分けとなったこの対決について、安齋ヘッドコーチは「琉球は相手に向かっていく気持ちがすごく出ているチーム。本当にアグレッシブにやってくるので、成長できるいろいろなきっかけが見つかったと思います」と収穫を語る。

また、かつて栃木でともにアシスタントコーチを務めた盟友である佐々ヘッドコーチについて尋ねると「意識はします」と答え、次のように切磋琢磨する関係だと言う。

「お互いプライドを持ちながらいつも話をしているのは、日本人選手をどう育てていけば日本代表の強化に繋がるのか。そういうことができるチームをお互いに作って良いバスケットボールをしようと言っています。僕らもどんどん成長して日本を強くしていければと思います」

この2日間、2人の熱い想いに呼応するか熱のあるプレーを両チームは見せてくれたのは間違いない。若き闘将同士の戦いを今度は、負けたら終わりのチャンピオンシップで再び見たいと思ったファンは少なくないはずだ。