ジョーダン・プール

前半戦に結果を出したペリカンズ、ジャズが失速

レギュラーシーズンもいよいよ残り20試合を切る中で、トレードデッドラインとバイアウト市場による補強による明暗が分かれてきました。ここからプレーオフ進出が確定となる6位とプレーイン・トーナメントの4枠を巡って1試合の重みが増し、熾烈な争いが繰り広げられることになります。

スティーブン・アダムスの離脱から勝てなくなったグリズリーズが失速し、西カンファレンスはナゲッツの1強状態になりました。3位キングスはディアロン・フォックスの勝負強さで接戦を勝ち切り、2位浮上も視野に入っています。この3チームを追うのはトレードでケビン・デュラントを加えたサンズで、ケガ人が戻ってからは順調に勝ち星を挙げており、4位の座は堅そうです。

5位のウォリアーズから13位のブレイザーズまでが4.5ゲーム差と混戦を極めています。長い間『西高東低』の図式が続き、時には50勝してもプレーオフに出れなかった西カンファレンスですが、今シーズンに関しては各チームが不安定な戦いぶりを続けており、「レベルが高い」というより「足の引っ張り合い」とでも表現すべき状況で何が起こるかわかりません。

特に年明けには2位にいたペリカンズは、1月以降は8勝20敗と急ブレーキになっています。昨シーズンはCJ・マッカラムをトレードで獲得してから上昇気流に乗りプレーオフへと進みましたが、今では10位の座を守ることも危うくなってきました。9位ジャズも再建のためにドラフト指名権を集めることを優先し、トレードで戦力を落としており勢いがありません。

追いかける11位レイカーズはデッドラインのトレードでガードを減らし、ウイングを増やしたことでロスターバランスが改善し、調子を上げる気配でしたが、レブロン・ジェームズの戦線離脱で怪しくなってしまいました。12位ブレイザーズはデイミアン・リラードが1試合71点を記録するなど調子を上げているように見えますが、その内容はチームとして機能しないまま個人技に頼っている状況にすぎず、改善の兆しが全く見えません。13位サンダーは若いチームだけにシーズン後半に成長を見せるかと思われましたが、オールスターのシェイ・ギルシャス・アレクサンダーが離脱し、こちらも思うように勝率が上がってきません。

急降下するペリカンズが10位争いから脱落しそうな一方で、下から上がってくるチームも見えないという状況で予想するのは極めて難しく、9位のジャズから13位のサンダーまでの5チームのうちどこが生き残るのか全く分かりません。シーズン最終戦ではジャズとレイカーズの直接対決が組まれており、この試合が10位を決める大一番になるかもしれません。

6位までのプレーオフ確定枠をめぐる争いも白熱しています。クリッパーズはトレードとバイアウト市場で積極的に動いたにもかかわらず、5連敗で順位を落としています。5連敗のうち2試合がオーバータイム、1試合が1点差での敗戦と内容は悪くないものの、接戦で勝ちきれないのは今シーズンのクリッパーズらしい悩みかもしれません。試合ごとに選手の組み合わせを変えており、最適解を見つけられるかが勝負です。

ティンバーウルブズは1月に11勝5敗と勝ち星を伸ばしたものの、チームで2番目の得点源となっていたディアンジェロ・ラッセルをトレードしたことで、分かりやすく得点力が落ちました。代わりにアンソニー・エドワーズが使うスペースが広くなり、完全にエドワーズのチームへと移行しており、良くも悪くも彼のパフォーマンス次第で勝敗が変わってきます。

カイリー・アービングを加えたマーベリックスは、攻守に不安定さを増幅しただけの結果となっており、試合ごとにアップダウンが激しく安定して勝ち続けることは難しそうに見えます。同じことはウォリアーズにも開幕から付きまとっている問題ですが、ステフィン・カリーが不在の期間を何とか勝ち越して乗り越え、5位と優位な立場を確保しています。

それでもこの4チームはホームでの消化試合数が多いほど上位にいる状況で、実質的な勝率の差があるとは言い難くなっています。より早くチームとしての戦い方が定まったチームが抜け出しそうですが、その点ではウォリアーズが最も可能性が高く、続くのは選手が入れ替わった割に戦えているクリッパーズです。この2チームが6位以内に入ってくると予想します。

強さよりも脆さが目立つ西カンファレンスというのは非常に珍しい事態です。キングスが久しぶりのプレーオフに進むのが確実視される一方で、昨シーズンのチャンピオンであるウォリアーズですらプレーオフを逃す可能性があり、パワーバランスが揺れ動き続けているシーズンだけに、最後まで目を離せない戦いが続きます。